僕が君を呼んだとき
君はどこにいてくれますか?
ずっと側にいてくれますか?

声を枯らして呼ぶ前に
僕のところに来てくれますか?
すぐに駆けつけてくれますか?














「中居」
少し説得の色が込められた声に、中居は頭を振って答える。
「ううん、じゃなくて。」
再度の説得にも、やはり中居の頭は横に振られた。
「できるって。」
「・・・・・・」
「俺もいるじゃん。」
その言葉に中居の頭が止まった。
「俺もいる。俺がいる。」
頭をあげた中居は泣きそうな顔をして木村を見上げた。
「できるって。」
まだ頷くことはできなかったけれど、横には振られなくなった春まだ浅い日。



「っ!」
顔が苦痛に歪んだ途端、カメラがスイッチングされる。
中居が仮面を被るより一秒早く。
その事に気づき、より一層表情は曇る。
「大丈夫?」
「ああ。」
「嘘ばっかり。」
一瞬の迷いもなく続く会話。
それはまるで用意されていたようで、そんな事ばかりうまくなった。
「休めば?」
「いや、いい。」
「そういうと思った。」
少し笑いを含んだ声に、ようやく中居は視線を合わせた。
「やめろって言ってもやるんだろ?」
「ああ。」
「じゃ、止めない。けど、忠告はしたからな。」
「ああ、聞いた。」
「・・・・・・。じゃ、気が済むまでやれ。」
「ああ、やるよ。」
爽やかな笑顔とともに約束を交わした夏の盛り。



背中が泣いていた。
そっと側に寄り添った。
「また来年だな。」
「ああ。」
咲き誇る向日葵よりも長持ちした笑顔も、そろそろ花びらを閉じる時期だ。
「休みはなくても楽しいことばっかりなら、それは夏休み。」
誰に聞かせるともなしに紡がれた言葉。
「いい夏休みだったな。」
最後にもう一度大輪の笑顔が咲いた。
「宿題も復習テストもないもんな。」
小学生より1ヶ月遅く終わった夏休み。
それは静かな秋の訪れ。



「久しぶりに緊張する〜!!」
オーバーアクションで周囲を笑わせながら、その目はただ一人にのみ注がれていた。
縋るようなその視線に
「大丈夫だよ」
とおまじないのように繰り返す。
スタッフに囲まれ、メンバーとは違う場所に連れて行かれる姿を見て、
「大丈夫だよ」
もう一度呟く。
同じように緊張している自分に向けて、
遠くにいってしまうと不安に思う自分に向けて。
スタジオ移動に衣装替え、歌って踊って笑わせて。
それはとても暑い冬の日の夜。











君が辛くて泣きたい日
叫ぶ名前は誰ですか?
それは僕の名前ですか?

ひとりで泣いてるその時に
駆けつけてもいいですか?
扉の鍵は開いていますか?











2007.8.11UP
「空気のような存在になれそうでなれない君たちへ」
副題をつけるとしたらこんな感じでしょうか。
言葉にしなくても全て伝わっていそうなものなのに、
いちいち言葉にしようとしてできないもどかしい彼らに捧げます。

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SMAPファンに55のお題
thanks to「Wish Garden」植木屋様
http://www.geocities.jp/wish_garden_new/odai/00.htm
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