大晦日。
年に１回、僕らはこのステージに立つ。
今年もその日がやってきた。
リハーサルも終わって、挨拶もして、
いよいよ本番が始まる。
左に２人、右に２人。
５人揃ってる。
「もっと真ん中によってください。」
５人がきゅっと固まる。
大勢の中できゅっと固まった５人。
僕はそんな自分達が好きだ。
でも、始まった途端、５人は４人になってしまった。
なんか寂しい。
そう思ってたら、横で木村くんがぼやいた。
「何も言わずに行ったよ、あいつ。」
そして、４人は３人になる。
「スタンバイお願いします。」
「じゃ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
しばらくすると、また３人は４人になった。
「ただいま。」
「おかえり。」
「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」
年に１回、この日だけかわす挨拶。
いつもは別に気にしない。
でも、今日は特別。
それを忘れて出て行った人はまだ戻らなくて、４人は３人にはなっても、５人にはならない。
「香取さん、お願いします。」
「はい。じゃあ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
「しっかりね。」
「がんば。」
３人３様の答え。でも、やっぱりなんか足りない。
「ただいま」
「「「お帰り」」」
出番が終わって戻ってきても、やっぱり返事は３つ。
打ち合わせってそんなに長いの？
そう思ってたら、つよぽんが言って来た。
「次、司会だね。」
「移動お願いします。」
そう促されていった先。
やっと５人目がいた。
でも、随分離れた場所にいて、でもなんだか嬉しくて、
「あの人、うちのリーダーなんです。」
とか、言いたくなっちゃって。
でも、結局うちのリーダーは、司会っぽく、他人っぽくしてて・・・。
ちょっとむっとしてたら、同じことを吾郎ちゃんも思ってた。
「全く、あの人は・・・。」
出番まであと・・・数え始めたらやっと４人は５人になった。
「待たせた。」
大きく息を吐きながら言ったその人に、
「待ってなんか無いよ」
とか言いたかったけど、
「「「「お帰り」」」」
４人そろって言っていた。
「遅いよ、お前」
木村くんがそう怒って
「行ってきますって言わなかったでしょ」
つよぽんはそう責めた。
「司会のとき、あんまり他人っぽくしないで」
吾郎ちゃんはそう注意して
「お帰り、中居くん」
僕は怒りたかったけど、そう繰り返してた。
「悪い」
中居くんはうつむいてそう言うと
「ただいま」
顔を上げて照れくさそうに笑った。
その後は大変だった。
５人揃ってほっとしたと思ったら一気に緊張してきた。
「なんか緊張しね？」
みんなでそう言いながらひっついて。
「しわになるからじっとしてて」
マネージャーさんにそう怒られて、
でも、やっぱりヒソヒソくっついて。
みんな笑顔がちょっとだけ引きつってて。
「スタンバイお願いします！」
そのときみんなは一斉に中居くんを見た。
中居くんはみんなの顔を確かめて、小さく頷くと
「行くべ」
一言だけ言った。
凄くしっかりした頼もしい一言で、
僕はその時点でなきそうになってた。
ステージ上に立つ。
円になってて良かった。
背中しか見えなかったら不安だもん。
少し不安そうな顔のみんなと目が合う。
一斉に手を出して
「行くぞ！」
木村くんの喝が入った。
「よし、行け。」
中居くんがそれにOKを出した。
マイクを通して聞こえる声は一人ずつでも、僕らは５人で１曲歌いきった。
すごかった。
感動だった。
終わって抱きつきたかった。
でも、やっぱりそれはおあずけで、僕らはいろんな人と握手して、
みんなで歌を歌って、挨拶をして。
やっぱり、５人にはなかなかなれなくて、
終わってからもがやがやして。
随分してから、パッと見たら周りには４人がいて、
もう１回中居くんが
「行くべ」
って言った。
５人で乾杯
５人で万歳
やっと５人でゆっくりできたね。
きっともうすぐまた４人になっちゃうけど。
だって中居くんもう目が閉じちゃいそうだもん。
今日はみんな頑張った。
もう一度乾杯。
「ね、もう１回乾杯しようよ！」
そう提案したら
「何に乾杯？」
つよぽんにそう聞かれて
「うーん？」
迷ってたら
ゴーン ゴーン ゴーン・・・・・・
「２００４年に乾杯！」
「「「「「乾杯！」」」」」
2004.1.31UP
HAPPY BIRTHDAY to SHINGO!!
27才ですね。でも聖奈の妄想の中の慎吾はとっても幼い感じです。
なので、ここでも喋り方とかとっても幼くなっていますが、悪しからず。
またも、時期はずれになっちゃいましたが、
最近になって、「紅白」の時の模様を
本人たちの口から聞けたので、使ってみました。
聖奈は、なかなか中居さんが出てこなくて、
調子悪いの？って一人で心配してました（＾＾；）