―ちょっと聞きたいことがあるんだけど―
何?

訝しがりながらも真っ直ぐに見つめてくる瞳は今も昔も変わりない。

―あれ、なんなのよ?―
だから、何?

早くはっきり言えとイラつく視線が突き刺さる。

―この間のボーリング。5人集まったら、かっこよくいろと言ってるでしょ?どうして決まらなかったのよ―
知らねえよ。別にわざと外したわけじゃねえし。それに別に俺のせいだけじゃないだろう?

―どういう意味?―
別に他のやつらが決めてもよかったわけだし。

―あんなんじゃ立場がないわ―
誰の?俺らの?それとも事務所?

―どっちもよ―
別にいいじゃん。あれがうちのチームだよ。別にいつもあんなじゃん。あれが真実の姿なんじゃないの?

―1回しかストライク出せないなんて、本当に恥ずかしかったわ―
恥ずかしがる必要ないと思うけど?別にふざけたわけじゃないし。ま、俺ももうちょっとストライク出ると思ったけど。

―どうにかして自分が倒さないとって思った?―
倒したいとは思ったけど、俺が倒さないと、とは思わない。チームの誰かが倒せばいいんだし。
中居とかこの間もストライク出してたからいけると思ったんだけどな。
話はそれだけ?何?かっこいいSMAP見せられなかったからって説教して回ってるの?

目をくるっと回し上目遣いにみながらも、口元は皮肉っぽい笑いを浮かべている。
人を見下したような表情であれば叱るところだが、今日はただ面白がっているだけらしい。

―そうよ―
暇だねぇ。

―あんたねぇ―
以後気をつけます。



―ちょっと聞きたいことがあるんだけど―
ん?何?

椅子に座りなおして見つめてくる瞳は吸い込まれそうになる。

―あれ、なんなのよ?―
何?僕何かしました?

不思議そうに首をかしげ、少し不安の色を浮かべながらも視線を外そうとはしない。

―この間のボーリング。5人集まったら、かっこよくいろと言ってるでしょ?どうして決まらなかったのよ―
ああ、あれ。ね?どうして決まらなかったんだろう?

―こっちが聞いてるのよ。あんなんじゃ立場ないわ―
やっぱり木村君が言ったみたいにちょっと傾いてたのかな?

―そういうことじゃなくて。あそこはバシッと決めるところでしょ?―
うーん。でも、しょうがないよ。ちゃんと真面目にやったんだし。

―1回しかストライク出せないなんて、本当に恥ずかしかったわ―
1回しか出せないなんてね。木村君とか慎吾とか決めると思ったんだけど。

―自分が倒さないと、とは思わなかったの?―
倒したいとは勿論思ったけど、「自分が倒さないと」とは思わなかったかな。5人で協力すればよかったわけだし。

―いつもアーチェリーは満点じゃない―
うん。そう。僕得意みたい。

―褒めてるんじゃないのよ。どうして、この間はストライク出せなかったの?―
そんなのしらないけど。

―けど?―
アーチェリーの時は、僕一人でしょ?他のメンバーいないし。司会で中居君はいるけど。
しかも、自分が主演のドラマのチームだから、やっぱりちゃんとやらなきゃ、というか、僕が決めなきゃ、とは思うよね。

―今回もそう思ってほしかったわ―
うーん。けど、やっぱり5人でいるから、誰かが決めてくれるかな、とは思ったかもしれないね。
そっか、それがいけなかったのかな?
もしかして、その事怒りにわざわざ来たの?

妙にすっきりとした顔で微笑まれ、更に心底不思議そうな顔で見つめられる。
下から覗き込むように見られると、自分がわざわざ来る必要もなかった気にさせられる。

―そうよ―
ふーん、そっかぁ。

―あのねぇ―
はーい。これからは気をつけます。



―ちょっと聞きたいことがあるんだけど―
はい。何ですか?

律儀に応えこちらに向き直る瞳は、今も透明さを失わない。

―あれ、なんなのよ?―
あれって何ですか?

真っ直ぐと邪気のない視線に見つめられる。

―この間のボーリング。5人集まったら、かっこよくいろと言ってるでしょ?どうして決まらなかったのよ―
え、でも、僕1回決めましたよ。

―でも1回じゃダメでしょ?5回決めないといけなかったんだから―
そうですけど。でも、みんなちゃんと真面目にやったんだし。

―1回しかストライク出せないなんて、本当に恥ずかしかったわ―
でも、僕は決めたからな・・・。でも、もっとみんな決まるかと思ったよね?
木村君とか。中居君も前、決めてたし。慎吾も決めそうでしょ?吾郎さんも、ああいうときバチっとかっこよく決める人なのに。

―自分がもう1回倒さないと、とは思わなかったの?―
うーん。倒したいな、とは思ったけど、でも、他のメンバーが誰か、ストライク出せたらいいな、と思ってた。
僕が2回ストライク出してもねぇ。
あ、でも、手は抜いてないよ。うん。抜いてません。

―もうちょっと頑張ってほしかったわ―
そうだね。知ってたら練習したのにな。
またあるなら練習しとくんだけど。
あ、でも中居君の番組もボーリングだし、今後のために練習しておこうかな、僕。
うん。練習しよう。

張り切った顔をされ、思惑と違う方向に話しが進んだことに困惑する。
爽やかな笑顔を向けられ、力が抜ける。

―いい?これから気をつけてよ―
はーい。



―ちょっと聞きたいことがあるんだけど―
ん?何?

振り向いて向けられる大きな瞳はいつでも、そのときの気分の如実に表す。

―あれ、なんなのよ?―
あれって?分からない。

素直な瞳は興味と不満、そして少しの苛立ちを表す。

―この間のボーリング。5人集まったら、かっこよくいろと言ってるでしょ?どうして決まらなかったのよ―
え〜。知らないよ。真面目にやったし。いいじゃん、つよぽんがストライク決めたんだから。

―あんなんじゃ立場ないわ―
え〜。これ、怒られるの僕じゃないでしょ?あの時、もうかなり疲れてたんだから。
中居君とかさ、木村君とかさ、決めてくれると思ったのに。吾郎ちゃんもああいう場面得意じゃん。

―じゃ、自分が倒さないと、とは思わなかったの?―
倒したいとは思ったけどさ、僕がストライク出さなくても、誰か出してくれると思ったよ。
まさか、草g剛だけとは思わなかったし。

―時間が無かったの分かってたでしょ?―
だから、わざと外したわけじゃないって。中居君とか決められると思ったんだもん。
でも、僕27時間頑張ったでしょ?

―あそこで決まってればもっとよかったけどね―
それは僕以外の4人に言って。

少しふてくされた表情は見慣れた幼い顔。おもわず口元が緩む。
たとえ、それが、それを見越して作ってる顔だとしても。

―いい?これから気をつけてよ―
はーい。



―ちょっと聞きたいことがあるんだけど―
何?

目線は台本に向けられたまま。いつの頃からか視線を合わせて話をしたがらなくなった。

―こっち向きなさい―
何?

大きな瞳にあからさまに拒絶の色を浮かべる。

―あれ、なんなのよ?―
何?ボーリング?説教しに来たの?

―そうよ。5人集まったら、かっこよくいろと言ってるでしょ?どうして決めなかったのよ―
決めなかったんじゃなくて、決まらなかったの。

―嘘おっしゃい―
本当だっつーの。

―自分の番組ではちゃんときめたじゃないの―
別に、あれだって決められないときはあるし、それに

―それに?―
・・・・・・。

―何?―
木村とかが決めると思ったから。
慎吾も、「オリャー」とか言いながら決まるかな、と思ったし、
吾郎も、ああいうの得意だから、クールな顔してストライク出すかなって。

―でも、残り時間が少なくなってきた時に計算できたでしょ?―
計算なんてできねーよ。

―自分の番組であんなにぴったり終えた人が?―
・・・・・・。

―どうして決めなかったの?―
だから、他のメンバーが決めると思ったから。

―だから、最後の事を聞いてるの―
・・・・・・。
俺、あそこで決めるキャラじゃないだろ?
吾郎が天然で決めて、にこにこ飛び跳ねるならまだしも。
俺が決めてストライクが2つになったところで、微妙だし、
あそこは、木村か慎吾が決めるところじゃん。
局としても俺が決めるより映画背負ってる二人に決めてもらいたかったんだろ?きっと。
それを、二人を差し置いて俺が決めても微妙なだけだよ。

―そういう計算してたわけ―
・・・・・・。

―あんまり自分を卑下するのやめなさいって言ってるでしょ?―
別にそんなんじゃねえって。あれは俺の番組じゃないから。
だから、別に色々考えずにやった。それだけ。

―・・・・・・―
話はそれだけ?4人のところにも回ったの?

―そうよ―
で?なんて?

―何って?―
だから、あいつら、なんて?別にわざと外したわけじゃないって言ってだろ?

―そうね。で、全員自分が決めなくても他の誰かが決めてくれると思ったって言ってるわ―
そんなもんだよ。俺らにしかわからない、そういうのがあるんだよ。

―お互いに依存してるようにも思えるけど?―
依存?依存って言うのとは違うよ。
いいんだよ。5人にしか分からないことだよ。

―とにかく、これからは気をつけてよ―
はいはい。

―「はい」は1回でいいの!―
分かったって。






2007.8.4UP
27時間テレビのボーリングのコーナーより。
ぐずぐずで可愛いSMAPにしようと思ったのですが、
最後に中居さんがなんだかシリアスなことを言ってくれてしまって・・・(^^;)

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SMAPファンに55のお題
thanks to「Wish Garden」植木屋様
http://www.geocities.jp/wish_garden_new/odai/00.htm
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