「お邪魔するよ」

いきなり隣人が駆け込んで来た。
見られたら困る事でもしていたのか、あわてふためく二人には目もくれず、
真っ直ぐにリビングのソファーを目指す。
勝手知ったる部屋の中を、突っ切るその足元は、急ぎ足。
少し鬼気迫った様子で、それはさながら競歩をしているよう。
常とは真逆のその様子に、二人は圧倒され、目を見張るばかりだった。

程よく温まった部屋の中で深くソファーに身を沈めると、ようやくひと心地ついたらしい。
突っ立ってる二人を見て

「本当に邪魔しちゃったかな。失礼。」
と悪気の無い顔で言う。
「うちの暖房壊れちゃってさ。さすがにこの寒さでしょ?着込んだ所で限界があるからね」

僕の事は気にしないでと、持ってきたらしい文庫本を広げる姿を二人はまだ呆然と見ていた。

「さすが吾郎だな」
「ああ」

早速、本の世界に集中しているらしい姿に、2人も本当に気にしなくていいんだと、息をついた。

「で、どうする?」
と、中断された話を始める二人はソファーを取られて床の上。
ころころと転がりだした中居が行きつく先は木村の上。
クッション代わりにするつもりだった中居と、その中居をクッション代わりにギュッと抱きしめる木村。

「苦しい!木村!」
「あったか〜い!」

そんな2人も気にせず、自分の家のように寛ぎ、カフェオレまで作り始めた吾郎。

ついでにとつくらされたお昼ご飯は温まり代