お説教 ver.I
「あ?中居君?今、終わったよ。サンキュ。」
「でも教え無くても分かったんじゃないっすか?あいつ、分かりやすいから。」
「いや、完食だったし、分かんなかったかも。」
「あー。一発で行っちゃいました?」
「さすがに二度目にしといたよ。結子ちゃんがうんって言わなかったし。」
「絶対木村に言わないで下さいよ!」
「うん、勿論。大丈夫!でも罰ゲームまでしてもらっちゃって・・・中居君のおかげだよ。」
「ほんと、バラさないで下さいよ。」
「うん、あ!え?きむ」
「え?」
「そういうことだったんだ。」
「え、いや、ちが」
「明日会うっけ?中居。」
「・・・・・・うん。」
「じゃあ、明日な。」
「お疲れ様でした。」 唇を片方に引きつらせ、意味深な笑みを浮かべながら携帯を返す木村にバラした本人は少し不安
になった。
「中居君、大丈夫かな?」
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次の日、収録を終えて楽屋に戻る5人。
「で?」 唐突にそっけなく切り出す木村。
何のことだか、他のメンバーには分からないが、分かってしまう人物が一人。
「すみません。」 わざとらしく中居が答える。
「どういうことだよ。」
「つい、ポロっと。」
「つい?」
「すみません。」 しおらしく見せつつも、コント調子の中居。
「いつ?」 それには乗らずに木村。
「この間の収録後。」
「どこで?」
「飲みに行った時。そうなんだよ!飲まされて酔っちゃって、それで言わされたんだよ!マジで、マジで!なぁ、慎吾。」
「ええー?!」
突然慎吾を巻き込み、更にコントらしくするが・・・
「中居。」 今に木村にそれに乗る気は無い。
「いいじゃん!ゲームだし。そうだよ!木村が一発目で当てればよかったじゃん!」 次第に強気になっていく中居に木村は冷たい視線を送るのみ。
「なあ、慎吾!」 やっぱり巻き添えを食うのは末っ子で、
「慎吾、お前はあっち行け!」
「はい。」 なぜか自分まで怒られた気分。
慎吾にも去られ、中居はきょろきょろと何とかふざけてごまかそうとする。
が、
「中居。今お前怒られてるんだよ。分かってる?」
木村の冷静な声に身を縮める。
怒りを表に出さず淡々としている木村はやけに怖い。
「いつ?」
「どこで?」
「どうやって?」
「何で?」
また最初から始まって尋問に今度は素直に答えていく。
「で?」
「え?」 本気で分からず木村を見上げる中居。
「なんかいう言葉は?」
「悪かった。」
「じゃなくて?」 実は楽しそうな顔をしている木村の顔も、気まずそうに下を向いている中居には分からない。
「・・・・・・ごめん。」
「じゃあ、しばらく貴さんとの飲みは無しな!」
「えー?!」
「何?」 慌てて怖い顔を作る木村に対し、中居は慌ててしょげてみせる。
「はい。」
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「もう貴さんのせいですよ!凄い長かったんだから。木村と結婚すんのは大変だな。」
返す言葉がなかったのは、その口調が今後の予定のように聞こえたからか、それとも「今から帰るから」と木村に電話を入れる中居が嬉しそうに見えたからか。
どちらにしろ、
「大丈夫ですよ!ちゃんと仲直りしましたから。」
という中居の言葉には、言われたほうが顔を赤らめるしかなかった。
2004.1.18up
thanks to Ichiさん
食わず嫌いの正解をついばらしてしまった中居君。そして、それを怒るたっくん。
という設定の原案を頂いたのですが・・・ちょっと自信がありません。
なんていい設定だ!と考えていただいて感激しただけにちょっと悔しい。
でも、くすっと笑いながら読んで頂ければ幸いです。
きっと、周りで見てた3人は「またショートコント始まったよ」
とか思っていたことでしょう。