お説教 ver.N

今日は楽しいクリスマス。



中居はそそくさとスマスマの収録が終わったスタジオを出る。
家では大仕事が待っている。
だって、今日は楽しいクリスマス。寂しい夜は過ごさない。



「あれ?中居は?」
木村が支度を終えたときにはもう中居はいなかった。
「もう出てったよ。」
慎吾のその言葉に木村はちょっと不機嫌になる。
(一緒に帰ろうと思ったのに。)
だって今日は楽しいクリスマス。2人で一緒に帰りたい。



バタバタ バタバタ
中居は家で大忙し。
玉ねぎは目にしみるし、お肉はお鍋にくっつきそう。
おまけに缶切りが見つからない。
(トマト缶開けられねーよ。)
「早くしないと、肉がー!」
慌てる中居はやっと見つけた缶切りを右手に。そして、力を込めて・・・。
「痛ってー!」
今日は楽しいクリスマス。叫び声は似合わない。



その頃木村は不機嫌顔。車を走らせ、それでも律儀に手土産を買う。
ケーキにシャンパン、チキンにフルーツ。
本当は腕を振るいたい。でも時間も無いし、仕方が無い。
精一杯の吟味の上、商品を手に。
でも、やっぱり寂しい。
(なんで先に帰るんだよ。)
今日は楽しいクリスマス。仏頂面は似合わない。






痛い。痛いけど早くしなきゃ。もうちょっと。でも・・・。
「っつー!」

ピンポーン♪
涙目と仏頂面。
2人の顔には合わない明るい音が部屋に響く。

「開いてる。」 痛みをこらえて低い声。
「お邪魔します。」 不機嫌ゆえの低い声。


「何やってんの?」
涙目の中居と、美味しいにおい。いつもなら駆けつける木村も今は冷たい。
「ミートソース。」
「は?」
「ミートソース!焦げる!」
中居の痛みをこらえた叫びにやっと木村が台所へ向かう。
そこにあるのは、焦げ付く寸前のお鍋と途中まで開いた缶。
手早く処理しながらイコールで結びつく中居の顔。







「全く・・・」
食べるのはおあずけで始まった木村のお説教。
部屋の中には美味しいにおい。
向かい合って座るのは怒った顔の木村と小さくうつむく中居。
「危ないだろ」から始まったはずが「なんで先に帰んだよ」になり、また「自覚が足りない」に戻ってくる。
しゅんとうなだれた中居の鼻はぴくぴく、目はきょろきょろ。

「お前、いまドラマやってんだぞ!みんなに迷惑かけるだろ!」
「うん。」

反省している「フリ」にも疲れてきた。「まだ?」と思った時、突然落ちてきた雷。

「中居!お前今怒られてんだぞ!」

ぴくっと肩を震わせたのは驚いた証拠。つまり、話を聞いてなかった証拠。

そして、告げられる木村からの最後通告。

「今日、お前メシ抜きな。」
「え゛−!」
「俺、今怒ってんの!お前、今怒られてんの!」
「うん。」

本格的に凹み、うなだれる中居。


「作ったのに・・・。木村の為に作ったのに・・・。頑張ったのに・・・。


小さく呟き、見上げる。
「だめ。」
第一作戦失敗。
「痛い。」
目に涙をためてみる。
「だめ。」
第二作戦も失敗。

「ごめんなさい。もうしません。」
「・・・・・・。」
第三作戦は効き目あり。

「しょうがないなー。本当にもう無茶しない?」
「しません!」
「・・・よし!じゃあ乾杯すっぞ!」


「木村との共同作業だな。」
言った中居は赤い顔。
言われた木村も赤い顔。






今日は楽しいクリスマス。2人っきりのクリスマス。





2004.1.10UP
thanks to norikoさん
甘いです。可愛すぎです!恥ずかしいです!
でも、たまにはこんな2TOP、いかがでしょう?
こんなときもある筈です。
いま、1月なのに、クリスマス?とかいう突っ込みは無しでお願いします(笑)
でも、何も悪いことして無いのに怒られるひろちゃん。
ちょっと可哀想かも。心配しすぎて怒っちゃったたっくんでした。