中居は朝から熱がある。

にも関わらず、いつもの笑顔とハイテンション。今も周りを笑わせている。

必要以上に。近くの人間から見れば痛々しいほどに。

そんなに声を張らなくてもいい。一人でそんなに表情を変えなくてもいい。

なぜならSMAPは5人だから。

全部を背負わなくてもいい。人に任せてもいい。

なぜなら5人はメンバーだから。


なのに・・・




「なぁ、中居。」
「ん?」
「俺さ、何度も言ってると思うんだけど。」
「何を?」
「無茶をするな。何のために俺ら5人なんだよ。信用して無いのか?」
「なんだよ、怖い顔して。」   お茶らけて誤魔化そうとする中居に木村の顔が更に険しくなる。
「当たり前だろ。俺怒ってんだから。自分の体のことも考えろよ。」
「・・・・・・。」   中居はわざとしゅんとした顔を作る。笑いに持って行こうと。
「なぁ、中居。俺、今怒ってんだけど。」   木村の声に真剣さが増す。
「は〜い。」   わざとらしい声。
「お前、今怒られてんの!分かってる?中居!」

「分かってる。」   突然、中居の声が真面目になった。
「分かっててどうしてあんなに無理すんだよ。」
「木村がいるから。」
「はぁ?」
「俺が倒れても木村が支えてくれるだろ?だから。」   真っ直ぐに木村を見る中居。
「木村がいなくなったら無茶すんのやめるわ。」   そう言うと綺麗に微笑む。そして、一気にいたずらっ子のように白い歯を見せる。
「じゃあ、一生無茶してろ!」   木村は一瞬してやられた、というように息を呑むとそう言い放った。
「おう!してやる!だから、いなくなんなよ!」  その言葉に中居は青ざめた顔を紅潮させ、そういいながらまたスタジオに入って行った。

少し足取りがしっかりしたのを見届けて木村も後に続く。




そして、収録は続く。

くっついたり、離れたり。ゲストを立ててみたり、お互いを褒めたり。

そっけなくしたかと思うと集まって。

誰かが打ちそこなったボールは必ず誰かが変わりに打つ。

それがSMAP。それが5人。





2004.1.24UP
「お説教」シリーズ(?)第3弾。聖奈編です。
これが頭の中にまずできて、でももうちょっと可愛げなのが書きたいな、と思って
norikoさんとIchiさんに協力してもらったわけです。
どうも暗くなる。でも後半の2人の会話は自分的に結構ツボ(笑)
ちょっと短すぎかな?とも思ったのですが、
2人の会話自体、2〜3分あるか無いかだと思うので
話自体も短くていいかな、と。いかがでしょう?