「熱い??ねぇ。熱い?ねぇ!」
瞳がうるうると揺れている。
まるで子犬。
つい、虐めたくもなる。
「すっげー熱い。ラーメン屋さん、尊敬するわ。」
嘘だな。今の木村君の発言。
ま、嘘って言うのは言い過ぎとしても、そんなに熱くはないでしょう。
こわごわ、木村君の手元を覗いていた吾郎ちゃんの顔が青ざめる。

「じゃあさ、それかかったら僕も熱いって事だよね?」
「だろうなぁ。」
「えぇ〜!」
あーあー。木村君のS心に火が付いたよ。
今の聞き方、あれはくすぐるよねぇ。

あ、やばっ。
セーフ。
そうだよね、今の吾郎ちゃんに影から見てる俺の存在に気付けるわけはないよね。
楽しくてしょうがない木村君も同じ。
おさむさん探してるのか。 残念ながら、今、いないんだな。
だって向こうで中居君と話してるもん。

「じゃあさ、練習してみようよ。」
「へぇ?! 」
成る程、その手で来たか。
「耐えられない熱さだったら、スタッフに言わないとだしさ。ま、俺が平気だから平気と思うけど。」
「そうだよね。木村君、猫舌だもんね。 」
吾郎ちゃん…それ関係ないし。 恐怖でやられちゃってるんだね。
流石にちょっと可哀相に思えて来た。

「ほら。」
可哀相な吾郎ちゃんは見事なへっぴり腰。
「もちょっと側に来ないとわからないって。」
あ。
木村君が腰を引き寄せた。やっぱりうまいよなぁ。自然だもん。
吾郎ちゃんは歯を食いしばってる。
木村君がちょっとお湯をかける。
「あ…これくらいなら…なんとか。 熱っ!!今の熱いよぉ。」
もがいてみせても木村君の腕からは逃れられない。
てゆーか、よりいっそう強く抱かれるの、分かっててやってるんじゃない?

「あれ、何やってるの?」
あ、中居くん。
「何?あいつら。木村が吾郎虐めてるの?じゃないか。吾郎、喜んでるもんな。」
さすが中居くん。鋭い洞察力。
「そう。さっき木村君が吾郎ちゃんのMスイッチ押した所。」
「ひぃひぃ言ってるけど、大して熱くないんだろう?」
一応、心配するあたりが中居君。しかも、俺と喋ってる風にしてスタッフに確認してる。
さすが。
「一応、「練習」してるらしいよ。」
「へぇ〜。好きだなぁ、あいつら。」
至極最もな感想。
「ついでに慎吾、お前も。」
これまたごもっとも。
中居君はタバコを吸いに去っていく。


お、本番だ。


「熱い!」
う〜ん、ちょっとあれは本当に熱かったっぽい。
でも……
「本当に熱かったら、あのリアクションじゃないよね。」
いつのまにか草g剛。
「あの感じじゃ心配しなくて大丈夫だね。」
お、冷静じゃん。
「でも冷たいお手拭き持って行ってあげよう。」
成る程ねぇ。その優しさで今のポジションをゲットしたわけかぁ。
「ちょっと!さっきより熱かったじゃん。」
「悪い。って俺のせいじゃないし。」
「練習した意味なかったし。」
アヒル口になってむくれてる。
「練習したからいい感じに使える反応になったんじゃん。」
僕もそう思う。でも吾郎ちゃんはますます膨れっ面。
「吾郎さん、大丈夫だった?火傷してない? 」
つよぽん、なんかうまくなったな。吾郎ちゃん的にはタイミングバッチリじゃん 。
ただし木村君の冷たい視線を気にしないなら。

「このお手拭き、冷たいよ。使って。」
「ありがとう、剛。本当に剛は優しいよね。どっかの誰かさん達と違って! 」

あ。
なんだ、見つかってた。
って事は…。
やっぱ、あの人役者だな。

「火傷したから手が痛くて持てない。」
そんな見え透いた嘘をついて我が儘言ってる声が聞こえる。
それに答えるつっけんどんな声。嘘だと知ってて騙されたふり。

みんな役者だなぁ!!
僕はこの四人をまとめる監督になりたい。
でもひとまず今は共演者になる。

「本当に火傷したの?嘘でしょ?大袈裟だなぁ、吾郎ちゃんは。」






2009.10.4UP
いつの話だったか・・・と言われるほど前になってしまった、
スマスマの「ちょっといい話」みたいなコーナーより。
前作の「ねこばすのひ」と続けて、慎吾くん立ち聞きシリーズとなってしまい・・・
ごめんね、慎吾。
ちなみに、タイトル、「manner」で「態度」。聖奈的には違和感ありありなのですが、
どうしても、「m」で始めたかったので(^^)

素材はこちらからお借りしました。