薔薇をくわえて登場した木村は、そのまま会場を練り歩き、歓声を欲しいままにした。

半周し、中央まで来ると、胸元からハンカチを出し、自分がくわえていた辺りをさっと人拭きすると、
そのまま片膝をついた。

真紅の薔薇を差し出す美しい姿に、会場が一層沸いた。

差し出された相手は同じく会場を半周して来た中居。突然の求愛に一瞬目を見張ったが、
慣れた様子で手を差し出した。

海賊のキャプテンにマフィアのボスが答えるその姿が、ビジョンに映し出された。

見掛けとは異なった貴公子然とした仕草で真紅の薔薇は次の持ち主へと渡った。

微笑みあい上品に礼をする二人は同時にステップに足をかける。言葉を挟まない
突然の出来事に会場は興奮の極みにあったが、プログラムは通常通りに進んで行った。


MCでも触れられなかったその成り行きは、ファンの想像力を刺激するばかりだっ
たが、二度と見れないかと思われた真紅の薔薇は真っ赤なドレスと共に再びステージの上に上がった。


持ち主を変えた真紅の薔薇は一層輝きを増し、仮の姿に身を窶した中居を美しく彩った。
鞭と薔薇とを自在に操り、艶やかさを増した中居はステージを舞った。
過剰な色っぽさは意に反して笑いではなく、感嘆を呼ぶばかり。
ダンサーの背にハイヒールを突き立てた中居は薔薇を片手にポーズを決め、会場は歓声さえ忘れた。


そして、迎えたトリプルアンコール。メンバーは飛び切りのプレゼントを準備していた。
吾郎、剛、慎吾が取ったり取られたり三角関係を繰り広げている所に現れたのは、
海賊のキャプテンと謎の美女、そして美しい薔薇。ほほえましい三人を尻目に腕を組み、
センターまで歩を進めると、中居がカメラを十分に意識した仕種で木村の首に腕を絡めた。
木村も同じく十分に魅せながら中居の背中に手を滑らせると、そのまま中居を抱き上げた。
膝を掬われ驚いた中居も状況を飲み込むと、カメラに向けて表情をキメた。

その間に、下三人もそれぞれのオープニングの衣装に着替え、
ステージ上には4人の男が1人の女を囲む図になった。
怪しげなその格好は、どこかの盗賊組織のようにも、地下組織のようにも見えた。
5対の視線に射られたカメラの映像がビジョンに大きく映し出された。

その間誰一人、言葉を発しないと異常な事態が続いていたが、そのことに気づく余裕は誰も持ち合わせていなかった。


中居が持っていた薔薇を、木村に差し出す。木村はそれに口づけると、吾郎に渡した。
SMAP全員に口づけられて戻ってきた薔薇は、最後に中居に妖しく口づけられると、その役目を終え、天に舞った。


その行方に、目を奪われているうちに、SMAPは気取った礼をしたまま、ステージの下へと消えていった。


我に返った客席によるアンコールにこたえて出てきた彼らは、いつもどおり、シャンパンと共にバカ騒ぎを繰り広げ、
一瞬前までの余韻をどこにも引きずっていなかった。


そのまま、終了したコンサート後、会場を後にする観客は皆、狐につままれたような顔していた。

「薔薇・・・」
「あれ、夢じゃないよね?」



Truth or False?








2005.10.6UP
オーラスのオープニングを見ながら思いつきました。
最初は吾郎さんの花束を・・・とも思ったのですが、
やはり、元祖コンビでやっていただきました。
お題のタイトルとは少しずれてる気もするんですけど、
気にしないで下さい(^^;)
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SMAPファンに55のお題
thanks to「Wish Garden」植木屋様
http://www.geocities.jp/wish_garden_new/odai/00.htm
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