第11部 マネジメントサイエンスと企業システム


平成7秋 AN 問22

企業間のデータ交換に関する記述として、不適切なものはどれか。

 ANSI X.12は、米国のEDIの標準であるが、EDIFACTへの移行を表明している。
 CIIは、日本の産業情報化推進センターが制定したEDIであり、建設業のCI-NETなどで採用されている。
 EDIFACTは、EDIの国際基準であり、製造業や金融業界など幅広い範囲の取引をカバーしている。
 JUST-PCは、郵政省が定めたパソコン用の通信プロトコルであり、ホームバンキングなどで利用されている。
 日本電子機械工業会(EIAJ)のEDIは、扱う品目が多いため、まだ検討段階にある。

解答 オ

EDI(Electronic Data Interchnge:電子データ交換)
異なる企業間における商取引のためのデータを、ネットワークを介してコンピュータ間でやり取りすることである。ペーパーレス化によって、事務処理の正確化・効率化を図ることができ、納期短縮とコスト低減が可能となる。
EDIでは、四つのレベルで標準的な取り決めがある。
第1レベル 情報伝達規約 通信プロトコルに関する取り決め
第2レベル 情報表現規約 メッセージのフォーマットに関する取り決め
第3レベル 業務(情報)運用規約 業務の運用、ネットワークの運用に関する取り決め
第4レベル 取引(情報)基本規約 取引契約に関する取り決め
ANSI X.12
アメリカの自動車業界や倉庫業界、運送業界、小売業界などのグループが制定。
TDI
欧州で欧州経済委員会を中心に、貿易関係手続きの簡素化のために、ヨーロッパ標準規格のTDIが制定された。
EDIFACT(Electronic Data Interchange For Administration, Commerce and Transport)
上記ANSI X.12とTDIをベースとして欧米の協力のもとに制定された、国際EDI標準。
EIAJ標準
日本で(社)日本電子機械工業会が、汎用的で開かれたEDIネットワークの開発を目的に制定。
CII
上記EIAJ標準をベースとして、多様な業界ニーズへの対応と、EDIFACTとの互換性の観点から機能を拡張したEDI標準を産業情報化センタ(Center for the Information of Industry:CII)が制定。

1999/08/06


平成7春 1K 問40

M/M/1の待ち行列モデルに関して、正しい記述はどれか。

 一定時間に到着する客の数は指数分布に従う。
 客が立ち去ることがある。
 サービス時間は指数分布に従う。
 待ち行列の長さに制限がある。
 窓口は複数個のことがある。

解答 ウ

待ち行列
情報処理ではオンライントランザクションシステムなどの性能計算に応用される。オンライントランザクションシステムでは、ホストコンピュータの処理時間がサービス時間で、端末から到着するトランザクションが待ち行列に相当する。
待ち行列理論
待ち行列ができたときの平均待ち時間を求める手法。待ち行列の状態を表すものとしてケンドールの記法がある。
ケンドール(Kendall)の記法
●/▲/■
サービス要求の発生頻度 M:ランダム分布あるいは指数分布
G:一般分布
D:一定
サービス処理時間分布
サービス窓口(サーバ)数 数字(一般に示すときはmまたはn)

システム設計でよく用いられるのは、[M/M/m]であり、数学的に解きやすく応用範囲が広いのが[M/M/1]である。

M 到着はランダム(ポアソン到着)
M サービス時間の分布は指数分布
1 サービス窓口は一つ
その他 到着順にサービスがなされる
割り込みはない(優先度はない)
客が立ち去ることはない

1999/07/20
1種午後の問題でもよく出るね


高度共通午前目次へ