従来型のシステム開発がもたらす問題点の解決策が情報資源管理である。従来の機能中心の開発手法によって個別システム開発を行うと、次のような問題が生じる。
情報システム全体の信頼性、安全性、柔軟性を向上させるためには、システム全体の情報資源を抽出し、共有資源として一元管理する情報資源管理が必要となる。
| データベース管理 | データベースの設計 ハードウェアとソフト構成の決定と調整 データベース完全性監視と維持 パフォーマンス監視と調整 バックアップとリカバリ |
|---|---|
| データ保管と管理 | データ取得チェック レコード管理 フォーム(画面)管理 レポート管理 データ利用の測定と課金 |
| データ利用サービス | 概念データモデリング データ内容の定義とデータ標準の設定 データディクショナリの維持 データ要求の分析と調整 更新権限、機密保持レベルの管理 データ利用支援 システム開発支援 |
| システムライフサイクル管理 | システム要求の受理と調整 プロジェクトイニシエーション プロジェクトの監視とシステム保証 動機システムの監視と評価 |
データ管理者(DA:Data Administrator)とデータベース管理者(DBA:Database Administrator)は、共にデータ資源管理を行うが、最近、両者の職責の違いが認識されるようになってきている。次の表は、両者の職責を比較したものである。職責の比較項目のうち、不適切な内容を含むものはどれか。
| 職責の比較項目 | データ管理者 | データベース管理者 |
|---|---|---|
| 管理対象 | メタデータ | データ |
| 機能 | 情報の管理 | データ管理 |
| 主要な接触相手 | マネージメント層 | 技術スタッフ |
| 範囲 | 個別データベース | 全社データベース |
| 役割 | 経営的 | 技術的 |
ア 管理対象
イ 機能
ウ 主要な接触相手
エ 範囲
オ 役割
データ管理者の役割は、企業を取り巻くあらゆる情報を把握、整理し、社内での情報活用を推進することである。また、ここでいう情報とは、コンピュータによって処理できる情報、いわゆるデータに限定されない。よって、データ管理者の管理範囲が個別データベースとあるのは誤りである。
データ資源管理の主たる業務でない物はどれか。
ア 経営資源としてのデータの共用化を図るために、データの標準化を推進する。
イ 将来の業務処理の拡大に伴うデータ量を予測して、データベースの物理構造設計と応用プログラムの規模の見積もりを行う。
ウ データ定義に変更が生じた場合に、その変更が影響する範囲を特定できるようにリポジトリを整理する。
エ データの機密保護のための対策を講じる。
オ 利用者の誤操作や、システムの障害などによって生じるデータベースの矛盾、破壊などに備え、回復方法についての運用基準書を作成する。
データ資源管理は、コンピュータ化に関係する部分とデータモデルに関する部分を扱う。プログラムなどの資源は対象としないので、応用プログラム規模の見積もりは誤り。