炎のボレロ

 メキシコを舞台に、反逆の罪で家を潰されたアルベルトの、復讐と恋のストーリー。日向薫は、立っているだけで絵になる、美しいトップさん。
 でも、正統派男役のアルベルトより、ずっと格好よくて、くぎづけになってしまったのが、紫苑ゆう演じる敵役、ジェラール・クレマン。フランスの軍人、不治の病。幕開けのラテンナンバーも、ねっしーさんとのデュエットも、恋人モニカ(毬藻えり)に対する冷たいそぶりも、全部好き。ラブラブしないのだけれど、信頼しあってる2人という感じで好感もてる。
 

カサノヴァ

 歴史的プレイボーイ、カサノヴァと、ポンパドゥール夫人とのラブストーリー。ポンパドゥール夫人は個人的に好きなので、そのドレスが肖像画のまま何着も現われるのに感動。(つい、宝塚扮装館でピンクのドレスを着て、写真を撮ってしまったりして。)
 紫苑と白城のカップルは、本当に美しかった。稔幸のルイ15世も、肖像画から抜け出たようだった。かなりヤサ男だったけど。麻路さきのサンジェルマンは、怪しい迫力がいっぱい。
 ラストのシメさんの、「心はここに残したまま。アディオ!」が、シメさんのさよならなんだなあ〜と感じた。
 

ジュビレーションプロローグ

 元気いっぱい!プロローグのオレンジがまぶしい。シメさん時代にはお姫様風だった、白城あやかのミニスカが新鮮。南極のシーンが素敵。あやかちゃんは美しいし、誘惑されるのるちゃんもいい。真織と絵麻緒のキッズの場面は楽しかった。TVショッピングのはっちさんが結構ツボだった。スターメドレー、星組ですという感じでいいのだけれど、あいかわらず、マリコちゃんの歌だけはどうも・・・。
 

ドリアン・グレイの肖像ドリアン

 自らの若さと美貌のために魂を売った男の物語。紫吹淳のドリアンが、ひたすら美しかった。前公演がエリザベートのルキーニ、後の公演がウェストサイドのベルナルドと、究極にダークな役柄の間で、よくこんな耽美系キャラを演じられるものだ。大劇場公演ではないので、脇を固めるキャストが、少し力不足だった。
 

誠の群像沖田総司

 土方歳三を中心に、新選組を描いた作品。私は新選組ファンなので、結構思い入れをもって見てしまったため、納得行かないこともいろいろ。
 小細工しなくても存在感のある麻路さきには、土方より、近藤勇の方があっていたのでは?こまごまと気苦労が耐えず、そのために憎まれ役になってしまうのは、マリコちゃんより、むしろノルちゃんのキャラにあっている気がする。
 その稔幸は、山南敬介と、榎本武揚の2役。どっちつかずに見えた。沖田総司の絵麻緒ゆうは、はまり役。天真爛漫そうに見えて、実は冷めたところがある。惣三郎の彩輝直は、妖艶なお小姓系の役がよく似合う。勝海舟(紫吹)が土方を誉めるのには、違和感。
 土方を描くのに、京都から函館までというのは、話を広げすぎ。土方が土方らしく格好いいのは、会津以降。京都を舞台にするなら主役は近藤勇、土方歳三なら、会津以降に絞った方が絶対よかった。史実を違えるのもやめてほしい。
 

ヘミングウェイ・レビュージョー・ラッセル

 ヘミングウェイの生涯に、2人の友人をからめたストーリー仕立てのショウ。中心になるヘミングウェイの麻路が存在感あって、稔、絵麻緒がうまく脇を固めていた。死の天使のようなのが出てきて、ちょっとエリザベートにかぶっている?まとまりがあって、質の高いショウだった。
 

DEAN

 ジェイムズ・ディーンの半生を、現実と映画のシーンをおりまぜながら綴っていく。やり場のない青年の苛立ち、不安、あせり・・・ぶんちゃん体当たりの演技。ただ、映画を見たことがないので、どこまでが現実でどこからが映画の中なのかよく分からず、ストーリーにメリハリがない印象を受けてしまった。
 

WEST SIDE STORYトニー

 月組に続いての上演。月組では、トニーとベルナルドの抗争が目立っていたけれど、星組では、トニー(稔)とリフ(絵麻緒)の友情が際立っていた。配役を聞いた時には、2番手さんにベルナルドでなく、リフ?と思ったけれど、リフがこんなに目立つキャラだとは!ぶんちゃんの演技力に拍手!基本はノル・ブン。
 トニーとマリア(星奈)が、ティーンらしい初々しいカップルだった。ユリちゃんがこんなに可愛くなるとは。ノルちゃん、歌がうまくなった。
 アニタ(羽純)も、気は強いけれど、恋人を想う可愛らしい女性だった。ベルナルド(彩輝)の印象が薄かった。
 

花吹雪・恋吹雪石川五右衛門

 石川五右衛門の物語。五右衛門の安蘭けい、燃えるような迫力で、存在感にひきこまれそう。あの原色のド派手なお衣装が似合うのは、とうこちゃん以外には考えられない。男らしくて何も恐れるものがないようでいて、母や初音を想うときの心の弱いところも見えて。秋園美緒の初音は、五右衛門を包み込むような雰囲気があり、演技派カップル。
 脇のキャストも含めて、しっかりした演技をしているので、違和感あるほどの現代テイストはないほうがよかった。禁断の近親相姦(未遂?)には驚いた。
 
ヴィンターガルテン
 ナチス支配下のドイツという、暗い設定。愛し合っているのに結ばれない、信頼しあっているのに思いが通じない。やるせなくて、切ないです。
 クローゼ、朝澄けい。涼やかなルックスなのに男っぽい。傷をおって登場するのがツボ。「クラウスはいつか理解してくれる」じゃなくて、きちんと誤解を解かなかったことが、間違いのもとなのでは?
 クラウス、真飛聖。黒髪が格好いい。かよこちゃんとまとぶんのコンビが絶妙です。ラスト、クローゼJrに撃たれながらも逃がすところ、いろいろあってもやっぱり親友だったんだなと、最後まで切ない。
 ジョセフィンの秋園美緒が上手い。クローゼを愛しているのに、結局は結ばれず、別の女性との間に出来た子を引き取って面倒を見る。「彼を愛してるから彼の子も愛せる」なんて、ありえない程できた人。
 クラウスの恋人ヒルダと、双子の妹レオナ(叶千佳)。クラウスが愛しているのは姉のヒルダと分かっていて、身代わりでもいいから自分を愛してほしい、歪んだ愛。「ヒルダもクローゼも、私からクラウスを奪う」とか言ってクローゼを殺すし。
 こんがらがったストーリーだけれど、こういう考えさせられる話が結構好きだったりします。登場人物もいい味だしていました。