宙組
カジノ・ロワイヤル 我が名はボンド


2023年5月13日
於・東京宝塚劇場



007のコードネームを持つイギリスの諜報部員、ジェームズ・ボンド。 ボンドの新しい任務は、KGBのルシッフルを倒すことだった。 ルシッフルは組織の金を使い込んだために、カジノで一攫千金を目論んでいた。 組織を裏切ったルシッフルを始末するために派遣されたスメルシュ、ボンドに協力するフランス情報局のルネやCIAのフェリックス。 学生運動からルシッフルの手先になったミシェル、その恋人でロマノフの末裔デルフィーヌ。 様々な人がカジノ・ロワイヤルに集まって繰り広げられる、スパイアクション。

映画で超有名な007だけど、映画のBGMが使われることはなく完全オリジナルでした。 それでもプロローグの黒ずくめのスパイの群舞は格好よくて、さすが宙組。

ジェームズ・ボンド、真風涼帆。 スタイリッシュで格好よくてビジュアル的には何の文句もなくボンドなのだけど、女をとっかえひっかえするイメージが真風にはない。 007でなければやっと真実の恋に巡り合えた的な話にもできるんだろうけど、007だからそうはならない。 世界を守りたいとか出会いを大切にしたいとか、真風にはとても似合いのセリフや歌詞なのだけど、ボンドはそういうこと言わないだろうと思ってしまった。 いるかを熱く語るのもよく分からないし。

デルフィーヌ、潤花。 ロマノフの後継者なんて全然望んでいないけれど、逃げるより自分の理想のためにその立場を使おうとする前向きさ。 勢いがあって可愛くて、とても似合ってました。 潤花ちゃんがトップ娘役になって、本当に良かった。

ルシッフル、芹香斗亜。 安定の悪役。ラスプーチンに扮して現れたときはどうしたのかと思ったけど、基本ビジュアルはいいし、こじらせた悪役は本当に似合います。 最後はセリ上で真風と剣の一騎打ち、ライヘンバッハの滝(正しくは古城の崖)に落ちてジエンド。

ルネ、瑠風輝。 分かってはいるけど、やっぱり人間離れした等身ですごく目を引く。 あんなスパイいたら、一目で覚えられて諜報活動なんてできないってもんです。

ロマノフの末裔ゲオルギー、寿つかさ。 マリア皇太后と瓜二つで、確かに末裔です。 皇帝ゲオルギーは立ち上がるとか、微妙なエリザベートのパロディは面白くないです。 最後息子たちに自分のダンディズムを継承するように言うのは、すっしーさんとしては超納得、でもゲオルギーとしてはどうでしょうね。

風色日向と亜音有星の兄弟が、ビジュアルは完璧なのにかなり残念キャラで、もったいないと言うかよくあの絶妙加減を出せると言うか。

ミシェル、桜木みなと。 学生運動のリーダーとは思えないくらいヘタレ。 天彩峰里のアナベルとはうまく行きそうだけど、男役として格好いい役じゃない。

フェリックスの紫藤りゅう、いい人っぽすぎてスパイっぽくない。
スメルシュのイリヤ、鷹翔千空。ヘタレが多い中ちゃんと2枚目なのだけど、いかんせん出番が少なすぎる。

優希しおんの訓練隊長が野郎ぽくて、今回も身体能力のすばらしさを堪能できました。 訓練ナンバーが見ごたえあった。

格好いいのに残念な男が多すぎて、スパイアクションらしいハードボイルドさよりコメディぽさが目立つ。 デジャヴ感のある場面が多すぎて、それ求めてないって感じだし。 これならもうちょっと短くして2本立てにしてもらいたかったです。 プロローグやフィナーレは目が足りないレベルに格好良かったから、本当にもったいない。