宙組
クラシコ・イタリアーノ
NICE GUY


2011年12月7日
於・東京宝塚劇場

 オートクチュールが主流だったスーツを、より手軽に多くの人が買えるように量産して、大成功をおさめたサルバトーレ・フェリ。 アメリカ進出を目前にひかえ、アメリカのドキュメンタリー番組の撮影が行われていた。 さらなる効率化を求めるアメリカのスポンサーと、あくまで手縫いにこだわる職人の思いがぶつかり、撮影半ばでサルバトーレのアメリカ進出はなくなる。 番組スタッフのレニーは、サルバトーレの情熱に触れて、忘れかけていた自分の夢を思い出し、サルバトーレと再会を約束して別れる。

 プロローグのファッションショー。 メンズモデルの4人が半端なく格好よかった。 宙組ならではの長身、しかもヒョロっと背が高いんじゃなくて、しっかり男っぽくて、スーツもびしっと着こなしていて、一気にテンションあがりました。 悠未くんの押しだしの強さは、本当に好きです。
 でも、このあとはあまり盛り上がらず、中途半端で尻すぼみな印象が残ってしまいました。

 サルバトーレ・フェリ、大空祐飛。 何もそんなにワンマンに怒鳴らなくても。戦争孤児の暗い過去があるとは言っても、なんか暗いというか、もうちょっと今を楽しめばいいのに。 結局、あと一歩のところで時流に乗りきれなくて成功しないのも、単に融通が利かないだけじゃん!

 ミーナ、野々すみ花。ダサダサの田舎娘で、「何もないところで転ぶドジっ子(byシルヴィア@めぐり会いは再び)」 こういう子が可愛いって思う人がいるんだろうか? 少なくとも、私はパスしたい。 絶世の美女、華やかな社交界の花というよりは、すみ花ちゃんには似合っているけれど、これがヒロイン? 田舎で勝手に暮らしてろって言いたくなる。

 レニー、凰稀かなめ。ストーリーテラーっぽい感じの等身大の青年。 「このカメラで自分の撮りたいものを撮る」って、次のキャパの宣伝かと思いました。 サルバトーレと握手して別れるあたりが妙にさよなら仕様っぽくて、祐飛くんのさよなら公演の予定だったんじゃないかと勘ぐってしまいます。

 マリオ、北翔海莉。 頑固な職人すぎて、時代の流れに合わず、結局サルバトーレのもとを去っていく。 サルバトーレもワンマンだけど、マリオは輪をかけて自己中で、周りの気持ちを全然くもうとしないところが感じ悪い。
 「ここに居場所はないから、職人芸を極めるために専科に異動する」と言っているようで、ちょっと前に発表された人事発表が重なって見えてしまいました。 実際、北翔くんの芝居は上手と言えば上手なんだけど、玄人芸っぽいし。

 マリオの弟ペッピーノ、蓮水ゆうや。 兄と違って、理想は分かるけど現実をきちんと見るすべも分かっている、オトナなタイプ。 人当たりもよくて、この人いい人だなあ〜。

 フランク、春風弥里。 重い人が多いので、こういうちょっと軽いキャラはホッとします。 「ヒロインは(とは言ってないけど)中身より見た目が大事なんだ」と叫んだところは、よくぞ言った!と拍手したい。 300テイク以上我慢するなんて、ここのスタッフはえらいです。

 ショー「NICE GUY」。祐飛くんさよならかと思った副題だったのですが、そういうわけではなかったようです。

 イケメンオークション、これはすごい。 スパニッシュまさこ、マラカスちー、アラビアン大。この辺までは、まあ普通に格好いいかも。 風莉さんのMr.Japan。北島三郎?カウボーイ悠未、アフリカンなすっしーさん。 お笑い路線でまとめてたけど、本気でやったらかなりやばいことになりそうです。 是非オークションに参加したい。

 赤いバラ。このシーンだけ、あと10回くらい見たいです。 ナチの軍服風のかなめちゃん、似合うね。そこに赤いドレスで妖しく誘惑するれーれ。清純派のイメージの強いれーれが、こんな妖艶な役もやるようになって。 圭子さんの歌声が、また素晴らしい。 本舞台で待ち受けるバラの棘たち。すごいオーラが漂ってます。 みーちゃん見たかったのに、珠洲さんから目を離せなくて、ずっとオペラで追ってしまいました。 男役ダンスじゃなくて、本当にダンスが上手で、表情も素晴らしくて、完璧に持って行かれた。 祐飛くんのバラの精?何とも妖しくて、かなめちゃんと絡んでるところも見たい。 でも珠洲さんから目が離せない。 みーちゃんも踊ってる、かなめちゃんが魂吸われたらしい、なんかすごいリフトしてる、終わってしまった〜! 無理です、1回じゃ見きれませんでした。

 5レンジャーではなくて、セクシャル・ナイン。これでもかとキメて、めちゃくちゃ格好いい。至近距離で見たかったです。 宙組メンズがたっぷり堪能できるショーだったけれど、群舞が多くて、目が足りませんでした。