宙組
白昼の稲妻
テンプテーション!


2004年1月9日
於・東京宝塚劇場



 家族を殺された復讐のために、故郷に帰ってきたヴィヴィアンヌ。彼女を想う青年アルベール。ヴィヴィアンヌが犯罪に手を染めずに仇を討つ方法として、芝居で罪を暴くことを思いつく。

 ヴィヴィアンヌ、花總まり。←主役?
 復讐というわりに、特に復讐の具体的な話がでるわけではない。一般的には、男役の専売特許のような「家族を殺されたことの復讐」を、ヒロインが誓うというのは珍しいけれど、どういう風に復讐するつもりなのか、全然具体性がないので、結局言ってただけに見える。実際女性が一人で復讐しようとしても、仇に取り押さえられておしまいだろうけど。

 全体に、登場人物の書込みが浅い印象。ストーリーそのものにも起伏が少ないので、作品の印象が薄い。
 アルベールの和央ようか、特に無色な気がした。復讐を思い込んでいるヴィヴィアンヌを説得して、さらにまわり中危険に巻き込んで芝居を上演しようと言うからには、アルベールはそれなりに意思が強い人なのでは?とてもさらりとして見えた。たかちゃんに、気迫とか濃さとか求めてはいけないのだろうけれど、トップも長いし、そろそろ持ち味以外のカラーを出して欲しい。

 仇、ランブルーズ侯爵に、水夏希。嫌な感じが上手く出ていた。今までの水ちゃんはとても自然な演技で、それが物足りないこともあったのが、今回は上手く濃い味が出ていた。
 劇中劇の後、国王から沙汰があっただけなのが物足りない。せっかくいい感じの敵役だったから、侯爵の犯罪に気づいた皆が騒いで、その中でどういう態度に出たか見たかった。アルベールたちが芝居を上演する危険性も、その芝居によってランブルーズ侯爵が陥った窮地も、大したことではないように感じてしまった。最後、慌てず騒がず、堂々とはけていった水ちゃんが、格好よかった。

 劇中劇自体は、とても美しかった。どのあたりがランブルーズ侯爵の悪行を暴いているのか分からなかったけれど。だって、ヴィヴィアンヌのお父さんは、お母さんを殺したりはしてないでしょ?やるなら、ハムレットの方が近かったんじゃないかな。

 月組から異動して初の大和悠河。サバティエは、いろいろ人生経験を積んで、結局今の暮らしに落ち着いている、大人の男のイメージなのだけれど、タニちゃんだと、そこまで大人の男の雰囲気が出ない。いつもの天真爛漫なタニちゃんでないことは認めるけれど、いい男になるには、まだまだ修行が必要そう。今回は、あまり目立たなかった。

 オーギュスト、初風緑。はじめの劇中劇には笑った。クライマックスの劇中劇は、さすが上手。
 ベラ(彩乃かなみ)の恋人、アルベールの友人ということで、青年ぽく役作りしていたけれど、ガイチさんは大人の雰囲気があるので、他の人より年上に見えてしまった。ベラとの関係も中途半端・・・というか、ベラの気持ちが分からなかった。少なくともベラは、恋人より自分の出世を選んだ。
 それにしても、かなみちゃんが演じると、出世のためにあっさり恋人を捨てても、悪女に見えない。
 ガイチ&かなみと言えば、フランス史のお勉強のようなプロローグ。必要だったのかな?

 もうひとつ、ルネ(花影アリス)も見せ場が多かったけれど、ストーリーに全然関係ない気がする。必要な役だったんだろうか?

 ショーでも、今回水ちゃんのポイントが高かった。プロローグの緑の総スパンは、バッタかと思った。オスカル様のようなブロンドのかつらで、色っぽい。ラテンの水ちゃんが特に格好よくて、惚れ惚れ。
 たにちゃんの女装(赤いレースのつなぎ?)は・・・豊満というのか何と言うのか、迫力あった。パーフェクトマン、他の2人に比べて、たにちゃんはまだキザさが足りないな。