宙組
風と共に去りぬ


2013年12月6日
於・東京宝塚劇場



 役替わりBパターンを見に行きました。こちらの方が好みのキャスティングだったので。
 映画でも宝塚でも何度も見ていて充分知っている作品にもかかわらず、今回迂闊にも泣いてしまいました。 恐るべし、舞台のパワー。

 レット・バトラー、凰稀かなめ。いい男に磨きがかかってきました。 レットにしては線が細いかなと思っていたのですが、そんなことは全然気にならなくて、品のない無頼漢には見えないけれど、格好いいレットでした。 スカーレットの浮気を疑って飲んだくれてるところは、男の弱さ全開で、可愛いとすら思ってしまいました。 マミーに見せる笑顔が、何ともキュートで。

 スカーレット、七海ひろき。 南部の青年に囲まれているプロローグは、男役っ!って思ってしまいましたが、その後はとても良かったです。 スカーレットと言ったら強い女のイメージがあるけれど、七海くんのスカーレットは自然体で作り込まない感じが、ピュアで素直な可愛いスカーレットに見えました。 こんなスカーレットだから、レットが惚れたんだっていうのが分かる。
 ただプロローグ・・・スカーレットがアシュレと並んでるのが違和感。 いくらプロローグとは言っても、そこはメラニーとアシュレなんじゃないかと。 バトラー編だと樫の木屋敷は省略してしまうんですね。あそこは入れてもらいたい。 カーテンのドレスも省略されてしまって、ここも微妙に残念。
 で、喪服のスカーレット登場。あの衣装、もうちょっとシンプルでセンスのいいドレスにならなかったんだろうか? ヴァレンチノのナターシャがあれだけ素敵だった海くんなのだから、もっと都会的なすっきりしたドレスの方が似合ったと思う。 ドレスと言えば、デコルテの開いたドレスを着たときの立ち姿とか、ドレスさばきとかはいまいちだった。(特にフィナーレのデュエットが・・・) 娘役さんはさすがなんですね。

 メラニー、実咲凜音。 はじめトップ娘役がメラニー?と思いましたが、これはみりおんちゃんだからこそでした。 控えめで思いやりがあって、でも絶対曲げない強い信念があって、これがメラニーなんだなって感じます。 KKKのシーンがばっさりカットされていて、メラニーの見せ場なのに残念でした。

 スカーレットUの伶美うらら。背格好も七海くんと似てるし、演技も上手いし、違和感のない裏スカーレットでした。

 アシュレ、朝夏まなと。優柔不断で弱くて、どうにも好きになれない。 スカーレットももっと早くに気がつけばいいものを、自分が着せた衣装だけを見ていたっていうのが本当に的確な言い方。

 ベル・ワットリング、緒月遠麻。見るまではきたくんが女役?ごつすぎるだろうと思っていたけれど、実際そんな感覚はどこかに飛んで行ってしまいました。 情感豊かで、ソロの歌も追加されていて、ベルのシーンは涙が出てしまいます。

 涙と言えばこの人。マミーの汝鳥伶さん。 タラに戻ってきたスカーレットがマミーの姿を見た瞬間、私の目にもぶわっと涙があふれてしまって、存在だけでこれだけ感動させてくれる汝鳥さんは今更ながらすごいです。

 今回で卒業の悠未ひろ。青年ルネって(役替わりとは言え)、あまりにもったいない配役。 シーンが追加されて、戦争の悲惨さとか語っていて悪くはないのだけど、やっぱりアンサンブルの域を出ない役だし。 これだったら、ばっさりカットされていたケネディーあたりに配役して、KKKのシーンを抜かさないでもらいたかった。

 フィナーレ、格好良かったです。海くんは娘役のままだったけれど、きたくんは男役で。 パレードの降り順、これも役替わりで違うのだろうとは思いつつも、悠未くんの2人降りはちょっと気の毒だなって思ってしまいました。 仮にもさよならショーまでやるのだから、もうちょっと何とかならなかったのかな。
 とりあえず、全体として良かったです。風共でここまで感動したことあったかなあってくらいです。