宙組
モンテクリスト伯
Amour de 99!99年の愛


2013年5月22日
於・東京宝塚劇場



 船長への昇進が決まった若き航海士エドモン・ダンテスは、恋人メルセデスとの結婚式を挙げ、幸せの絶頂にあった。 だが、エドモンに嫉妬する同僚ダングラール、貴族のフェルナン、保身をはかる検事補のヴィルフォールの陰謀にあい、無実の罪で投獄されてしまう。 彼らへの復讐を胸に誓ったエドモンは脱獄し、モンテクリスト伯と名乗って復讐を開始する。
 オーバーチュアの曲調がドラマチックで、気分が盛り上がります。

 エドモン・ダンテス、凰稀かなめ。 明るくさわやかな青年が、一転ボロボロの囚人になって、その後暗い目つきの復讐者に変わっていく。 綺麗なヴィジュアルとの対比で、余計怖く感じます。 復讐を進めながら自分の中で葛藤が生まれている感じとか、見ていて引き込まれました。

 メルセデス、実咲凛音。 本当に演技上手で、エドモンに決闘を思いとどまらせようとするシーンは涙がこぼれました。 今でもエドモンを愛しているけれど、それ以上に母として息子を守りたいという気持ちが、痛いほど伝わってきます。

 ダングレール、悠未ひろ。 やっぱり悪役専科。でも一言で悪役と言っても、毎回タイプが違うのがすごいです。 登場早々飲んだくれていて、分かりやすく悪役っぽそう。 復讐のターゲットになって追い詰められていくうちに、ぽっきり心が折れてしまうところが、全然大物の悪者風じゃなくて、悪だくみしか出来ない小者なワルだったんだなって思います。

 フェルナン、朝夏まなと。 弁護の余地のない嫌味なヤツ。 メルセデスからの愛が得られなくて段々鬱屈していくとか、もうちょっと深みがあれば良かったのに、ただひたすら嫌なヤツでした。

 ヴィルフォール、蓮水ゆうや。 もともとはいい人だったのに、父の汚名を隠すために犯罪に手を染めてしまった、ある意味気の毒な人。 復讐の気配を怖れていて、根っからのワルじゃなかったのに自殺に追い詰められて、ちょっと可哀想。

 メルセデスの息子アルベール、愛月ひかる。 正義感のあるいい青年。逆裁といい、最近の愛ちゃん、なかなかいい感じです。

 ベルツッチオ、緒月遠麻。 毎回全然違う役を見せてくれるので、楽しみなきたくん。今回は割とお調子者系キャラでした。 エドモンのことを心配する人という意味では大事なのかもしれないけれど、実際問題あんまり必要のない役だったかも。 現代っ子たちのストーリーテラーが邪魔だったので、むしろきたくんがストーリーテラーになってくれた方が良かった。

 最後はちょっとご都合主義なハッピーエンド。 りおんちゃんのメルセデスだと、フェルナンが死んだからと言って、簡単にエドモンとハッピーエンドになって終わりにはしなさそうで、罪を背負って余生を行きそうな気がするのだけれど、これも@タカラヅカということでしょうか。
 皆すごく熱演していて話に引き込まれていったのだけれど、時々出てくる現代っ子とか、意味不明の訛りで話す仲間とかはいらない。変な演出しなければいいのに、石田先生にも食傷気味です。

 ショー「Amour de 99!」
 演出家の紹介をしたり、過去のショーのダイジェスト上演だったりで、何だかTCAを見ているような印象でした。 TCAだったら各組トップさんたちが出てきて、それはそれで豪華な舞台になるのだろうけれど、組子だけでやるので何となく中途半端でした。 みーちゃんやいちくんのようなパワフルなダンサーがいなくなってしまったこともあるかもしれないけれど。
 それはそうとして、かなめちゃんの脚線美は素晴らしかったです。