ギャングが暗躍するニューヨークで、探偵をしているサミュエル。同僚のマイルズは有望株なのに、サミュエルの方は一向に冴えない。 ある日ショーガールのブリジッドの警護中、相棒のジェイムズが暗殺される。同日、ギャングのボスも暗殺され、サミュエルがその容疑をかけられる。逃げ続けたくはない、けれどこれと言って打つ手もない。亡霊になったジェイムズと、ギャングのロススタインの手を借りて(?)、事件の真相を調べはじめるサミュエル。結局はマイルズの手柄で事件解決、大団円!? プロローグ、帽子にトレンチコートでクールならんとむのダンスが素敵。2幕目の最初の夢のシーンは、かなり可笑しかった。アドリブらしいのもいろいろあって、サスペンスかと思いきや、わりとコメディでした。 サミュエルの蘭寿とむ。冴えない・・・というにはスーツ姿が決まって格好はいいのだけれど、思っているほどには何も出来ず、状況に流されるまま。2日も眠っていないとか、本当に人間っぽくて憎めない。これだけ何ってことのない普通の青年なのに、らんとむらしさがあふれていて、好感が持てる。(亡霊が見えるというのは、かなり何てことあるけど。)夜空を見上げて切なく歌うのもいいけれど、やっぱり最後の満面の笑みが幸せな気分になれる。タップも見られて、得した気分です。 やり手の同僚マイルズ、七帆ひかる。正義感が強すぎてタブーに触れ、同僚を自殺に追いやってしまった過去を持ち、クールでニヒル、切れ者の探偵。サミュエルのような凡庸なキャラでない分、とてももうけ役だったと思う。長身で小顔なルックスもあって、目立っていた。サミュエルが右往左往しているときに、一番いいところで現われて事件解決するし。最後サミュエルがふてくされるのも無理はない・・・でもマイルズは、口で言ってる割に人はいいみたいで、この2人は今後も上手くやっていきそう。 今回、七帆くんにやられました。 ブリジッドの美羽あさひ。高級クラブの看板ショーガールというには派手さはないけれど、大人っぽくて自然でした。 サミュエルの妹ドロシー、花影アリス。とってつけたような役で、兄妹っぽくも見えないし、必要な役?「落陽のパレルモ」で一花ちゃんとの兄妹がすごくはまっていたのが記憶に新しいので、別になくてもよかったのに。 ジェイムズの一樹千尋&ロススタインの美郷真也。亡霊って何!?と思ったのも束の間、芸達者な2人が楽しくて。 市長ジミー・ウォーカーの萬あきらさんは、大ベテランの専科さんなのに、他の男役さんたちと一緒に踊ってるのに拍手。ロススタイン夫人の五峰亜季は、ドライな感じがはまっていた。 「パリの空よりも高く」で、別に引き裂かれる必要のない2人が別れるのは後味悪かったのだけれど、こういう他愛もない話のときは、多少強引でも大団円が心地いい。ギャングの娘を恋人に持ち、かつての相棒を上司に持ち、とても頭があがらないんじゃないかと思うけれど、そんなことで卑屈にならなそうなサミュエルだからOKでしょう。その後はちゃんと眠れたかな〜? |