宙組
王家に捧ぐ歌


2015年8月14日
於・東京宝塚劇場

 エジプトの将軍ラダメスとエチオピアの王女アイーダの悲恋。初演の星組が素晴らしかったので、どうしても比べてしまいます。

 ラダメス、朝夏まなと。 わたる君のラダメスは大きくて真っ直ぐで、アイーダを愛することに関しては絶対に揺るがなくて、本当に男らしかったのだけど、まなと君は全体に凡人っぽかった。 平和の理想を語っても、アイーダへの愛を語っても、わたる君ほど突き抜けた信念を感じなくて。 まあ、わたる君と比べることが間違いだとは思うのだけど。

 アイーダ、実咲凛音。 歌声が綺麗。1幕の短いスカートは一体・・・?兄貴に切り裂かれたの?って思ってしまった。
 とうこちゃんは純粋に愛だけに飛び込んで行った感じがあったけど、みりおんはいろいろ考えてる感じがしました。 悪い意味じゃなくて、悲恋のヒロインではあるのだけど、愛だけに生きてるわけじゃないというか。 何にしても芝居上手なみりおんなので、良かったです。

 ウバルド、真風涼帆。 ナイフ振り回して怖いのだけど、彼なりの信念があるのは分かります。 宙組にいても見劣りしない背の高さと存在感で、単純に格好いいです。

 アムネリス、伶美うらら。うららちゃんは大人っぽい印象があったけど、このアムネリスは 超わがままな未熟な少女という感じ。 少年も大人の女性も演じてて、演技の幅広さに感心します。 女官たちがスケールアップしてて、女子高のいじめのようで怖かった。

 ケペルとメレルカ、愛月ひかる&桜木みなと。 星組の時はもっと親友ぽさが強くて、裏切られたと思ったときの嘆きとかも強かったのだけど、何か普通っぽかった。 カマンテとサウフェ(澄輝さやと&蒼羽りく)のコンビの方が、心情がよく分かって好きでした。

 凱旋のナンバーは、宙組メンズの格好よさが堪能できました。 プリセツカヤさんのはバレエならいいのだろうけど、宝塚としてはいまいちだったので、変わって大正解。 マントさばきとか個々の押し出しは星組のほうが上手いのだけど、勢ぞろいでみせる男役の群舞の迫力はやっぱり宙組の醍醐味ですね。

 フィナーレナンバーは、なぜにその選曲?と思うものもあったけれど、5人組のナンバーが格好良かったんでまあOKです。