開演前、らんとむ君の挨拶がありました。ショーの客席下りのときに、階段を踏み外してしゃがみこんでしまった話とか、ちょっとした話が聞けました。抽選会は外れたけれど、自分の観劇日に大好きならんとむのトークがあって、幸せ。 敗戦後の日本の復興に尽力した、白洲次郎の話。 宝塚で近代日本史。ほとんど期待していなかったけれど、想像以上につまらなかった・・・というか、腹立たしささえ感じてしまった。歴史の上っ面をなぞっただけ。登場人物が説明台詞を話すだけで、いつの間にか戦争が始まって、敗戦して・・・ドラマ性はないし、何が書きたかったのかさっぱり分からない。 白洲次郎(轟悠)と正子(和音美桜)の出会いのシーンだけは、唯一ほほえましかった。お転婆な正子はうめちゃんのあてがきっぽい役だけれど、キク(鈴奈沙也)とのやりとりも面白かったし、かわいかった。後半の正子は、着物姿がしっとりしていて、言葉で言っているほど勝気には見えなかったけれど、いしちゃんとの並びは似合っていた。 いしちゃんは、宝塚らしくない役も難なくこなすけれど、白洲次郎という役そのものが宝塚の主人公にするには中途半端だった。 現実逃避して疎開しているのに、急に特攻隊を激しく嘆くのが変。身内に命を落とした人がいるならともかく、冷静に火の粉のかからないところに身を置いている人が、特攻隊の話を聞いただけであんなに嘆くなんて違和感ありまくり。場面としては素敵だったので、単純にショーとして楽しみました。 その後も、何をしたのかよくわからないままにストーリーがすすんで、盛り上がりのないまま終わった感じ。最後の空港でのジーンズ姿は格好よかったけれど、それはいしちゃんの着こなしが格好よかっただけで、白洲次郎の格好よさではないし。「日本で最初にジーンズをはいた男」って言われても、今ジーンズをはいて出てきたのを見て、それが日本で最初だか分からないって。 マッカーサーの大和悠河。顔が小さいから、帽子やパイプが大きすぎる。男らしく演じてはいたけれど、たにちゃんの持ち味じゃないし、こちらも中途半端な描かれ方だった。 CLOやGHQのメンバーは、いつも白洲次郎やマッカーサーの横にいて、状況説明の台詞を話すだけ。 辰美英次(蘭寿とむ)は、血の気が多い人らしいけれど、説明台詞で激昂するのはよく分からん。グルーパー中佐(悠未ひろ)が、弟を真珠湾攻撃で亡くして、日本を恨んでいるのは一貫していて分かりやすいけれど、辰美が広島原爆で妹を亡くしたというのは、無理に入れなくてもいいでしょ。 ストラッフォード伯(寿つかさ)が白洲の親友だとか、ブレストン大佐(北翔海莉)が辰美の親友だとか、新聞記者のポーラ(花影アリス)が正子の旧友だとか、敵味方を超えた友情を言いたかったのかもしれないけれど、まるで同窓会みたい〜なシチュエーションはうっとおしかった。 東京ローズやマッカーサーの秘書が、気持ちの悪い色気をふりまくのも、本筋に関係なくてイヤだった。 最後、実際のVTRを流すのも、駄目押しに興ざめ。現代に近すぎる歴史というのが生々しすぎて、いまだに解決していない歴史を軽々しく取り上げるべきではなかったと思う。 ショーでは、「砂漠の薔薇」が幻想的で美しく、「カルナバル」は純粋に明るくて楽しかった。 |