フェニックス・ライト

宙組
逆転裁判


2009年2月25日
於・日本青年館

マイルズ・エッジワース


 弁護士のフェニックス・ライトは、ニュースで議員殺害の容疑者として、かつての恋人レオナが逮捕されたことを知る。面会に行ったフェニックスに対して、心を閉ざし、自分が犯人だと言い張るレオナは、昔の彼女とは別人のようだった。レオナの無実を信じ、弁護士を申し出るフェニックス。検事は、容疑者は手段を選ばず必ず有罪にすると言われるマイルズ。3人は小学校時代の同級生だったが、全く異なる立場での再会となった。
 裁判が始まっても、レオナの頑なな態度は変わらない。事件を調べるうちに、フェニックスは数年前に起きた殺人事件と、今回の殺人事件の類似点を見つけ出す。検察の圧勝と思われていた今回の事件の真相が、過去の殺人事件の真相とともに明らかになる。

 ゲームソフトとのコラボレーションと言うことで、ゲーム画面が変わっていくように、ぽんぽんと場面展開が進んで行きました。最後の大詰めの裁判シーンは、さすがにあんなに「異議あり」を連発して、展開も非現実的だと思うけれど、全体的にとてもスピーディで楽しい作品でした。
 プロローグと1幕最後のダンスナンバーが、TVアニメのオープニングのようなノリで、楽しくて格好よかった。人差し指で指差すのは、お決まりポーズなんですね。

 フェニックスの蘭寿とむ。正義感が強くて、絶対あきらめない。こういうまっすぐな役は、もともと蘭とむの十八番。ぴったりでした。ハートは熱いけれど、暑苦しくなくて、誠実で、彼氏にするにはいいタイプですね。

 レオナの美羽あさひ。才色兼備の大人のいい女。頑なに心を閉ざしているけれど、本心でない、何か変というのがにじみ出ていて、微妙な演技が上手。私が犠牲になれば、私さえ我慢すれば、それで全てが上手く行くと考えるヒロインって嫌いなタイプなのだけれど、かわい子ぶりっ子じゃないから許してあげよう。

 マイルズの七帆ひかる。冷徹で天才というより、ひたすらキザ。時代がかった衣装、常に腕組み、大仰な動作、持って回ったものの言い方。格好よすぎです。でも、どこかコメディ。最後、フェニックスに「普通にしゃべれないのか?」と突っ込まれていたところが、とても可笑しかった。マイルズは、観賞用の男性ですね。

 暑苦しいと言えば、刑事ディックの春風弥里。1人ですごいテンションでした。熱意が空回ってしまって、頑張れ!と声をかけてあげたくなる。
 ラリーの鳳翔大は、手のかかる後輩という感じで、主役3人と同級生には見えなかった。
 ミラー州知事の寿つかさ。ナイスミドルなのに、きっとchange出来ただろうに、自業自得とはいえ、ちょっと可哀想。

 内容の薄っぺらいゲームもどきになりそうな話なのに、格好いい男役といい感じのラブロマンスのおかげで、充分楽しめました。最後、客席の全員で「異議あり」のポーズをして、終わりました。