宙組
逆転裁判3


2013年1月27日
於・日本青年館



 「逆転裁判」の続編。
 無敗記録を誇っていた検事マイルズ・エッジワースは、フェニックス・ライトに法廷で敗れ、失意の旅に出ていた。 故郷のカリフォルニアに戻る途中、飛行機が乱気流に巻き込まれ、たどり着いたのは30年前の世界だった。
 エッジワースが立ち寄ったクラブで、殺人事件がおこる。 ダンサーのアリソンと共に訪ねた弁護士の名前は、グレゴリー・エッジワース。 マイルズが幼いころに亡くなった父だった。 裁判が始まると、グレゴリーは被告人を無罪にするために、証拠のねつ造を行うこともいとわなかった。 憧れていた父のありえない姿を見たエッジワースは、自ら検事席に立ち、真実の追求を行うのだった。

 マイルズ・エッジワース、悠未ひろ。 逆裁2より抜け感が出て、いい感じでした。 あのキザですかしたエッジワースが、女性に恋心を抱くとか、父親に対して思慕の念を抱くとか、何だかとても人間ぽくて可愛い。 刑事さんに「(グレゴリーと)同じ目をしている」と言われて、「それは間違いなく遺伝だ」とつぶやくあたりの今一歩ずれている感じがいいです。 それにしても、れいちゃんがそれ程小さいわけでもないのに、あの身長差はすごいです。

 アリソン、すみれ乃麗。前作までのマヤちゃんとは全然違う、ちょっと影のあるクラブダンサー。 懸命に生きている一途な感じが、エッジワースの心をつかんでしまったんでしょうね。 れいちゃんのいじらしい可愛さなら、納得です。

 グレゴリー・エッジワース、蓮水ゆうや。 すかして偉そうな男だと思ったけれど、最後は息子のおかげで改心してました。 「道を誤った自分に正しい道を示してくれた、正義感あふれるいい検事がいた。その男の名を息子に付けよう。(名字も一緒だから、同姓同名になる)」と思って、マイルズに名前をつけたんでしょうね。 ちょっと心温まるストーリーでした。 ただ、ちーちゃんの演技がとても普通ぽくて、他の人がもっとゲームっぽいわざとらしい演技をしているので、のりが悪く見えてしまいました。 ちーちゃんの自然体な感じは好きなのだけど、今回はもっと大げさな方がよかったな。

 ラリー、凪七瑠海。 大くんから変わって、カチャがラリー。 今回息抜きキャラがラリーしかいないので、唯一笑わせてもらいました。 ディック刑事、マヤちゃん、ロッタハートさんたち、濃いメンバーもいればよかったんだけど。

 バッド刑事、愛月ひかる。濃いです、格好いいです。この年次で、あの個性が出せるのはすごい。 キザで格好つけてるんだけど、ナルシスだし、ロリポップキャンディなめてるし、ディック刑事と違って仕事はできそうだし。 先が楽しみです。

 裁判長、寿つかさ。すっしーさんが素敵なおじさまなのは分かってるけど、今回はさらにキーパーソンでした。まさに逆転裁判。

 エッジワースの母サラ、伶美うらら。少年役を経て、大人のいい女になりました。 バック・トゥ・ザ・フューチャーのように、息子に惚れたらややこしいことになるところだったので、何事もなくてよかったです。 現在に戻ったエッジワースが今のサラと対面するという、ちょっとベタな展開を想像したのですが、それはなかったです。

 逆裁のフィナーレは、今回もやっぱり格好よかったです。

 ゲームが元ネタだから現実的には突っ込みどころ満載な内容なのだけれど、気持ちがほっこりするのがいいです。 ちょっと成長したエッジワースが、この後悩めるフェニックス・ライトに再会するというわけで、ニックが「お前変わったな。よくしゃべるようになった」と言っていた理由が分かった逆裁3でした。