宙組
天は赤い河のほとり
シトラスの風  


2018年4月8日
於・宝塚大劇場

 原作知らないんですが、タイムスリップ歴史ものの少女漫画。 現代日本から古代ヒッタイトにタイムスリップしたユーリは、皇子カイルに命を救われる。 カイルは、息子を次期皇帝にと願う皇后に狙われるが、密かに逃げ出すことに成功。 敵国を倒し、ついにヒッタイトの皇帝に即位する。
 聞きなれない地名、人名にくわえて、長い話をぎゅ〜っと集約してるせいで、どの国が敵対してるとか、誰がどこの国の人だとか、1回見ただけじゃ分からない。 そのあたりは適当に流して、何となくストーリーは分かったかな〜って感じ。 「王家に捧ぐ歌」のデジャブ感がちらほら。

 ヒッタイトの皇子カイル、真風涼帆。 割とチャラ男設定のようだけど、マカゼは真面目に見えるからなあ。 王家のラダメスを連想させる、威風堂々とした皇子っぷりが格好良かった。

 ユーリ、星風まどか。 いかにも昔の少女漫画って感じのヒロイン像が好きじゃないのか、マカゼとは似合わないと思ってるからなのか、その両方なのか。 可もなく不可もなくというか、特に何てことない。 民衆に崇拝され、カイルにもラムセスにも愛されるほどの何を持ってるんだろう? ごく普通の女の子。

 エジプトの将軍ラムセス、芹香斗亜。 たぶん偉大な将軍なんでしょう。登場人物が多すぎて、1人1人しっかり把握しきれない。 ユーリを口説いてるあたり、こちらもチャラ男らしい。 けど、ユーリをカイルのもとに帰したり、カイルと対等に戦ったりしてるあたり、いい男なんだろうと思う。

 血の黒太子ことマッティワザ、愛月ひかる。 ルキーニ、ラスプーチンに続いて、今回も黒い役。(青年館は真っ白だったけど) ビジュアルからして格好よさげなのだけど、出番が少なすぎて残念。 昨日の敵は今日の友になってるし。 1本ものの芝居だったら、もう少し出番多かったのかな?

 マッティワザの姉で、エジプトの王太后ネフェルティティ、澄輝さやと。 アムネリスでした。彫像のネフェルティティそのままなあっきーがすごい。 片方しか残っていないイヤリング。彫像には片目しか無い理由が、ちょっとよくできてて感動。

 彫刻家トトメス、松風輝。ネフェルティティのこと敬愛してるんだろうな。 身分が違い過ぎて結ばれることはないけど、最後までついて行けるだけで幸せなのかな。

 神官ウルヒ、星条海斗。これで退団なのは残念です。 黒幕っぽいオーラを出してたけど、実はナキアを愛して、仕えてた。
 皇后ナキア、純矢ちとせ。 皇帝の命を奪ってでもカイルを陥れようとする怖い人だと思ったら、最後ウルヒとの報われない愛を抱えてたって分かる。 この2人のラブストーリーは、短い中でも印象に残ってる。

 カイルの小姓ティト、愛海ひかる。一番の儲け役じゃないかな。 好演してました。

 詰め込み過ぎの割には理解できた方だとは思うけど、1人1人のキャラクターを堪能できなかったのは残念です。

 ショー「シトラスの風」。
 宙組にふわふわパステルカラーのレビューは似合わない。 ききのダンディズムは格好良かったけど、銀橋1人渡りで終わり。 ふわふわ減らして、ここで群舞見たかった。
 すっしーさんのナンバーが格好良くて好きだった。 そうそう、こういうのが見たいの。
 明日へのエナジーも迫力あって良かったんだけど、出雲彩や音花ゆりの超絶高音ソプラノがなくて、何かもの足りない感。 まいらちゃんが悪いってわけじゃないけど、仕方ないか。 それ以外は文句なく格好良かった。
 太陽の場面。ここはプラズマダンサー見たかったな。

 無理やり芝居を短くしたのだから、もっと宙組に似合うショーだったら良かったのに。 あと、退団者向けの場面が全然なかったのが、愛を感じられなかった。 マギーの銀橋だって、もっとさよなら仕様の歌にできるだろうし、退団者だけのダンスナンバーくらいあってもいいのにと思った。