カラフ

宙組
鳳凰伝
ザ・ショー・ストッパー

2002年11月7日
於・東京宝塚劇場

トゥーランドット


BGM*されど夢

 オペラ、トゥーランドット。タイトルは聞いたことあるのですが、内容は全然知りませんでした。中国の王女トゥーランドットは、謎解きに失敗した王子たちを次々処刑していく。その謎解きに挑戦し、解き当てたのが亡国の王子カラフ。カラフを拒むトゥーランドット。カラフを慕うアデルマ姫と奴隷のタマルの愛が複雑に絡み合い、最後は主役2人が結ばれる。

 カラフは、非常にクールな王子だった。アデルマ姫が言い寄っても、タマルが自分の命とひきかえに愛を告白しても、全然動じず、あくまでトゥーランドットを自分のものにすることしか考えていない。それも愛ゆえというのではなくて、高嶺の花なら落としてみせようという感じがした。この冷淡なカラフが、和央ようかによく合っていた。個人的に、たかちゃんはクールでダークな役が似合うと思っているもので。
 立ち姿の美しさも抜群。たかちゃんの、8頭身で立ってるだけで様になるところが好きなので、こういうコスチュームものは最高です。さらに黒髪ロン毛。ニヒルな役。最近私のツボなこういうたかちゃんを見ることがなかったので、やっと見られて嬉しいです。おしむらくは、たかちゃんの歌声が高すぎること。芝居の時はそれほど気にならないのだけれど、もう少し男役さんらしい発声で歌って欲しいかも。迫力ないのよ。

 花總まりのトゥーランドットのお衣装が、素晴らしかった。初登場のピンクのドレスの刺繍と、あでやかな染めのトレーン。あのシーンで花總が銀橋を渡るのは、このドレスを見せるためだったに違いない。次の赤いドレスの刺繍も美しかったけれど、私としてはラストの白い鳳凰の刺繍のドレスが一番好き。シシィの白いドレスもそうだったけれど、鮮やかな色を使っていないのにあんなにゴージャスということは、かなり上質の生地のドレスなのでしょう。お花さまが登場すると、まわりがかすんでしまうくらいの存在感でした。
 もちろんお衣装だけじゃなくて、演技力も備わっているからこそ。血も涙もない冷酷な王女かと思っていたら、彼女なりに思うところあっての行動で、亡者にさいなまれることもある。難しい性格のトゥーランドットを、ちゃんと一貫性のある人物に見せているのは、さすがです。花ちゃんの出番はそんなに多くないと思うけれど、堂々とした貫禄で、やっぱり宙組のトップさんは花總まりなのだろうか・・・なんて思ったり。でも本当、これくらい毅然とした美しさがあれば、王子たちが命を顧みず謎解きに挑むわけも分かる。

 カラフに想いを寄せるアデルマ姫(ふづき美世)。ありがちな可愛い子系のキャラかと思っていたら、カラフにふられて大豹変。他の女に取られるくらいなら、殺してでも私のものになってもらう、って。トゥーランドットが可愛く見えた。すごいキャラ。

 今回一押しキャラが、奴隷タマラ(彩乃かなみ)。娘役さんなんて、普通アウト・オブ眼中な私なのに、ティムール王と現われたときから、妙に気になった。あくまで奴隷としてご主人様に仕えている、と言っている端々から、カラフのことを愛しているんだな〜と感じさせる演技力。最期カラフの前で自刃して果てるときは、涙が出ました。たかちゃんの超クールなカラフでなかったら、普通タマラに心変わりするでしょう。
 可愛いし演技力もあるし、かなみちゃんにはトップ娘役さんになってもらいたい。

 盗賊バラク(水夏希)は、原作にはない役だとか。男気があって、カラフとの男の友情もいい・・・はずなのに、設定がありきたりなのか、水ちゃんにそれほどまでの男気がまだないのか分からないけれど、それほど感動しなかった。バラクの最期は結構いさぎよかったけど、なんで水の中で戦ってるの?いろいろセットがあって、その間に堀とか池のように水があるならともかく、何もない盆の真中に、いきなりお風呂サイズの水溜り。水ちゃんだから、水を使ってみたかったのか、あまり必然性を感じなかった。毎回お衣装も靴もかつらも濡れて、大変だろうな。

 はなちゃんのお衣装(と演技)、かなみちゃんの演技に次いでよかったのが、群集。まとまりがあって迫力も充分、北京の雑踏のシーンは、特によかった。デーモン小暮メイクの役人さんも、あなた誰?って感じでインパクト強し。貴柳さんなんて、女役さんなのにね。
 皇帝だったか側近だったかのお衣装、紫禁城の落日のときのじゃありませんでしたか?ちょっと懐かしかった。昔は星組がコスチュームプレイの組と言われたものですが、今や宙組がそうかも。せっかく見目麗しいトップコンビなのだから、どんどんコスチュームものやって欲しいです。