宙組
ZORRO THE MUSICAL


2025年6月14日
於・シアターオーブ



水夏希主演で見たゾロとはちょっと違うゾロでした。
ロスアンゼルス市長アレハンドロは、長男ラモンではなく次男のディエゴに次期市長の職を継がせようと考え、勉強のためディエゴをスペインに留学させた。 父に裏切られたと思ったラモンは、実力で市長の地位を奪い取り、圧政を強いるようになる。 一方のディエゴも父の意思を理解できず、スペインではジプシーたちと歌い踊って奔放に暮らしていた。 そこに幼馴染のルイサが現れ、ロスアンゼルスの現状を訴え、ディエゴを故郷に連れて帰る。 ディエゴはラモンの目を欺くため、兄に従う奔放な弟を演じつつ、ゾロと名乗る正義のヒーローとして立ち上がった。

ロスアンゼルス市長と言われた瞬間に、アーノルド・シュワルツェネッガーが脳裏に浮かんでゾロの世界観に入っていけなかった。 カリフォルニア総督ではいけなかったの? スペインからジプシーを連れてくる意味が分からなくて、苦しんでる地元の人々と共に立ち上がるのが自然では? 「追憶のバルセロナ」や「バレンシアの熱い花」のデジャブ感もあって、これ本当に輸入物ミュージカル?と思わざるを得ませんでした。

マイナスな意見はここまでにして、生徒の皆さんは良かったです。 生徒はいいのに脚本が残念っていうのが宝塚あるあるです。(今回は残念というより詰めが甘い、もしかして改変した?)

桜木みなと、ディエゴ。 初の宙組生え抜きトップおめでとう。 ずんちゃんは線が細いのでアクションヒーローはタイプじゃないけど、ディエゴに関しては明るいキャラが似合ってた。

ラモン、瑠風輝。 抜群の等身に軍服がよくお似合いで、ありがとうございます。 ラモンが欲しかったのは父の愛と信頼。 歪んでしまったけど、父の思いつきに振り回されただけの被害者とも言えるし、無茶苦茶なことをしたかもしれないけど、最後殺さずにハッピーエンドに持っていってほしかった。 可哀想でならない。

ルイサ、春乃さくら。 行動的で宝塚のヒロイン像とは全く違うけど、さくらちゃんらしくて好きだった。 民衆を率いる自由の女神みたいだなと思った。

イネス、天彩峰里。 ジプシーのダンスが迫力あって格好良かった・・・けど、フラメンコってバルセロナのものじゃないんだよね〜。 イネスも同じく、死なないで済むストーリー展開にしてもらいたかったな。

ガルシア、風色日向。 抜群の等身に軍服がよくお似合いで、ありがとうございます。(ブーツがヒールですらなかった) ヘタレだけど優しくて、イネスの死を知ったときに目に浮かべる大粒の涙が何とも哀しかった。 だからハッピーエンドに!

軍服の男役さんはすらりと格好いいし、フラメンコを踊るジプシーたちも勢いあって格好いいし、マントばっさ〜も最高。 微妙な脚本の違和感を除けば、宝塚らしくて素敵でした。