花組
哀しみのコルドバ
Cool Beast!
2021年9月10日
於・神奈川県民ホール



花形闘牛士のエリオは、招かれた夜会で初恋の女性エバと再会する。 目前に結婚をひかえたエリオと、街の有力者ロメロの愛人であるエバ。 道ならぬ恋と分かりつつ、2人はひかれあう。 すべてを捨ててこの恋を選ぼうと思った矢先、エリオは母親から衝撃の事実を告げられる。

エリオ、柚香光。 闘牛士の扮装が素晴らしく似合ってて、プロローグのナンバーなんて文句なしの格好良さ。
なのだけど、それ以外はぜんぜん盛り上がらなかった。

母親たちが必死に隠そうとした秘密にしても、世界情勢や国際問題にかかわるほどの情事だったわけじゃなく、何で黙秘を貫く必要があったのか分からない。 そこまで黙ってたのなら墓場まで持って行けって感じだし、どうせ非嫡出子扱いなんだろうから結婚できないわけもない。 エリオはエヴァを絶望させたくないから秘密を伝えないでほしいって言うけど、恋人が目の前で死ぬ方がよっぽど酷い仕打ちだと思う。

恋に道を踏み外すとかスペインのフェスタとか、ついこの間見たマノンのデジャヴ感があるのに、マノン組のような情熱を感じない。 柚香光はクールと言うより低体温な芝居をする人だし、聖乃あすかもガンガン行くタイプじゃない。 外に発散するパワーも内に秘めた情熱も感じないから、淡々と話が進む。 ストーリーもいまいち乗り切れない。 ショーと思って見る分には、ビジュアル的にはとても綺麗だったのだけど。

ロメロ、永久輝せあ。 ひげをたたえたナイスガイ。 有力者とか愛人とかからイメージするいやらしいオヤジ感は全くなくて、紳士的で落ち着いたたたずまいが格好良かった。

ビセント、聖乃あすか。 無謀な恋に突っ走りそうもない冷静なエリオに対して、情熱の赴くままに恋に走る男・・・ って言う対比があればいいのだけど、聖乃も低体温な芝居だから響かない。 以前ほどほわほわした感じはなくなったけど、この役はもっと熱い人に演じてほしかった。

エバ、星風まどか。 宙組のころはどうしても好きになれなかったけど、何とか普通に見られるようになりました。 真風よりは相性がいいのかもしれない。

アンフェリータ、音くり寿。 ひまわりのような明るくてかわいい娘・・・なのだけど、見た目の雰囲気が役に合ってない。 活舌悪い人が多い中で(劇場の音響システムが悪い気もするけど)よく声が通ってせりふ回しもうまいし、歌も演技も上手なのに見た目が合わないって残念。

優波慧のフェリペも同様、上手なのだけど見た目が悪役面すぎて(脳裏にインネン中佐のイメージが・・・)誠実な青年に思えない。 色男2人は熱量が足りないし、未来に希望をつなぐ若い2人は無駄に演技派。 難しいものです。

ショーは前回と同じはずなのだけど、マイティがいないだけですごく物足りなかった。 マイティの役を聖乃がになうってのは、さすがに厳しい。 ひとこちゃんは雪組にいたときは目立つしダンスも上手と思ってたのに、花組に来てからはそこまで目立たない。 あきらはダンサーじゃなかったけど独特の存在感あったし、やっぱり花男って特別なのかな。

もしかして今の花組って、銀ちゃん組の人に支えられてるのかもしれないって思ってしまいました。