花組
Ernest in Love


2005年9月4日
於・日生劇場



 19世紀。イギリスの田舎貴族のアーネストは、ロンドンの貴族令嬢グウェンドレンと恋仲。ところがアーネストが拾い子と知ったグウェンドレンの母親は、結婚に猛反対。
 アーネストというのは、息抜きのためにロンドンに出てきたときの仮の名で、本当の名前はジャックといって、田舎ではセシリィという娘の後見人をしてる。このことを聞き出したアーネストの友人アルジャノンは、アーネストの名をかたってセシリィの前に現われる。すぐに恋に落ちる2人。そこに、アーネストとグウェンドレンが現われ、2人の嘘がばれてしまう。
 最後は大団円で、幸せな気分になれるお洒落なコメディ。

 月組に続いての上演。花組バージョンのほうが、コメディ度がアップした感じ。

 プロローグ、執事レイン(高翔みず希)の紅茶カップのナンバー。月組のときは、正直間延びしてつまらないシーンだと思っていたのだけれど、さおたさんの執事はダンディで、小気味よいノリが楽しい。キャストが替わると雰囲気は変わるものだけれど、花組レインはとても好き。後半の恋のアバンチュールを楽しむのも、こんなレインなら納得。

 アーネストの樹里咲穂は、思った通りのコメディ路線。見た目の貴族らしさでは麻子ちゃんのほうがそれらしかったけれど、オーバーアクションで楽しいのは樹里ちゃんの方。時々ちょっとやりすぎじゃないかと思うこともあったけれど、それも樹里ちゃん流ということで。コメディカラーが強い分、「家族が欲しかった」と語るシーンでは、シリアスなのが浮き立って、見ていてしんみりしました。メリハリがあって、こちらのアーネストも悪くない。
 きゅうりサンドのシーンでは、ちゃんと「僕は好物じゃないけど」って言ってました。

 グウェンドレン、遠野あすか。イヴェット@マラケシュと同一人物とは思えない、気が強くて優しい女性でした。かなみちゃんよりあすかちゃんの持ち味のほうが強いキャラというイメージがあったけれど、グウェンドレンに関しては、かなみちゃんの方が気が強くて、アーネストを尻に敷いている感じかな。そして、月組のほうがバカップル度が高かった。

 アルジャノンの蘭寿とむ。きりやんは、役者として何の不服もないけれど、蘭とむもやっぱり安心して見ていられる。霧矢アルジィとは、かなり雰囲気が違いました。
 まず若い。きりやんは、ちょっと達観した大人の男という感じだったので、セシリィとの純愛っぷりが以外だったけれど、蘭とむのアルジィは恋愛現役世代。セシリィに「何人の女を泣かせたの?」と言われてどきっとするあたり、本当に遊んでたな、こいつという感じだし。で、セシリィ相手にはすっかり恋する青年。デロデロな顔が可笑しい。
 そして、樹里アーネストの「弟」に見える。首根っこつかまれてつまみ出されるところとか。きりやんは麻子ちゃんのお兄さんに見えたからなぁ。握手バトルのシーンは、やっぱり楽しい。
 樹里ちゃんのコメディ路線ともども、蘭とむアルジャノンもコメディ路線。お得意の100面相で、女の子の声色使ってみたり、なさけな〜い顔してみたり。かと思いきや、はすに構えて片方の眉毛をぴくっと動かすジゴロのような表情。くらくらっときます。きゅうりサンドの食べっぷりは、きりやんのほうが難なく食べているように見えました。蘭とむは、ほおばってるって感じ。

 桜一花、小さなセシリィ。「どっちかというと大きいほうだけど」という台詞が、「小さいからって、子供ってわけじゃない」に変わっていました。どう変わるのかな〜と思っていたので。一花ちゃんのほうが、悪戯心いっぱいのこましゃくれた感じがよく出ていました。あいちゃんは可愛かったけれど、たぶんあれで限界なんだろうな。一花ちゃんは上手いから。

 ダンサーが多いのに、歌メインでダンスシーンが少ないのがちょっと残念。でも、やっぱり見ていて幸せな気分になれるコメディでした。
 ストーリーとは全く関係ないけど、舞台上のオケ。梅芸では、プロローグの演奏の後、上から鳥かごが下りてきてオケを囲っていたけれど、日生は最初から下りていた。ちょっと面白い演出だと思ったのだけどな〜