ハデス 花組
ラ・エスペランサ
TAKARAZUKA舞夢!


2004年10月26日
於・東京宝塚劇場
ポセイドン


MIDI*舞夢
 タンゴダンサーのカルロスと、画家志望のミルバ。クラブで偶然出会い、意気投合する。それぞれが抱いていた夢に1度は敗れるが、最後には2人は結ばれ、夢も叶う。
 ブエノスアイレスが舞台で、タンゴダンサーの夢破れ・・・なんて言うので、もっとハードな感じかと思っていたら、軽いタッチ。カルロスとミルバの夢が、ペンギンを見に行くって言うのも、ちょっと脱力です。コンテストの優勝&入選というのは、まあ妥当な夢ですが。

 カルロス、春野寿美礼。アディナン(ジャワ)、ギスターブ(天使)に続いて、またも爽やか青年。この役は爽やかにするしかないのかもしれないけど。兄貴がギャングのボスだと知らされ、パートナーは負傷し、自分はダンサーをくびになり、夢を追うことができなくなっても、全然深刻じゃない。そろそろ主水(野風)のような男気あるのを見てみたい。
 タンゴの名手という設定。なぜダンサーなんでしょう?歌手じゃいけないのだろうか?おさちゃんは、どうしても名ダンサーには見えなくて。フアンの代役として踊ったときも、つい相手役の鈴懸さんの方に目が行ってしまう。
 兄貴アロンソと会話するときのおさちゃん。すごく弟っぽかった。撃たれた兄貴を心配するのもいいけれど、横でフラスキータ倒れてるよ!女の子の方も気にかけて。銃撃戦で本当に火花が散って、驚きの迫力でした。

 ミルバ、ふづき美世。くよくよしない、諦めない。前向きなんだけど、ふーちゃんの持ち味かな、ほんわかしている。
 出会ったばかりなのに、カルロスがミルバを旅行に誘うっていうのは、どうだろう。下心のかけらも見えないけれど、ペンギンを見る夢と言い、展開がちょっと唐突に感じる。

 ベニート、水夏希。カルロスのライバルというので、もっと火花散らしたりするのかと思ったら、すごい仲良し。このベニートのちょっとお間抜けなキャラが、なんとも憎めなくて好きでした。言わなくていい一言をつい言っちゃったり。恋人にプロポーズする前に、周りに結婚宣言したところ、受けました。
 あいかわらず色っぽい水ちゃん。ダンスもつい目が行ってしまいます。キッチンツールで演奏会のシーンでは、皆の団結力に拍手!ダンスもよかったけれど、その後スクワット合戦しているおさ&水が楽しい。ムキになってやってるもんだから、息があがって台詞が言えなくなってる水ちゃん。太もも痛いよ〜ってアピールしてるし。和やかなシーンでした。厨房で騒いでいても、誰も注意しないのがちょっと不思議なんですけどね。
 水ちゃんに「久しぶり」というおさちゃんの台詞が、とても暖かい。本当に久しぶりに花組に戻ってきたんだもんね。

 ベニートの恋人、イネス、桜一花。タンゴを踊るには、水ちゃんとの身長差がありすぎるのが残念。背丈が近いほうがタンゴは素敵。でも、一花ちゃんのキャラは好き。勝気でキュートな女の子。絶対ベニート、尻に敷かれてるでしょ。

 フラスキータ、遠野あすか。気が強くてつっぱった女性は、あすかちゃんに似合う。カルロスのことが好きなんだな、と見てて分かるのに、当のカルロスは鈍いんだか興味ないんだか。素直に甘えるタイプじゃなさそうだから、永久に気づいてもらえないと思う。

 そのフラスキータに想いを寄せるファビエル、霧矢大夢。ダンサーになる夢を諦め、クラブのオーナーになったと言うけれど、実は一番踊りが上手。そして、今回の登場人物の中で、一番気に入ったのが、このファビエルだったりして。大人の男、包容力があって、安心して傍にいられそう。(財力もありそうだし。)ベニートたちとの会話が楽しかった。
 でも一番は、フラスキータとの銀橋会話。「君の外見が好きだ」この台詞にやられました。最後に「君の寂しがり方が好きだ」と言うのも好き。「気分を変えて食事でも」「気分を変えたくない」のやりとり、いい感じでした。

 フアン、彩吹真央。心臓が悪いのに、無理してコンテストの最中に倒れてしまう。このときフアンを一喝するおさちゃんは、ちょっと男らしくて素敵だった。そして、取り乱しまくりのお母さん。
 「お母さん。聴診器、聴こえないから!」の未涼ドクター、間がナイス。すごく受けました。

 そして、よく分からなかったのが、未沙さん始め、3人のストーリーテラー。よくあるパターンだけど、こういうストーリーテラーはあまり好きではない。未沙さんの独特の雰囲気は、とても好きなんだけれど。それからトム(蘭寿とむ)・・・その役名はどうよ?ばりばり金髪で、すごくトムっぽいし、未沙さんとの掛け合いも面白い。もうちょっとストーリーに溶け込んでいる役だったらよかったのに。女の子の方は、印象薄かった。

 悪い人がいない、挫折したと言うほどの挫折を感じない。ストーリーは平凡・・・というか調子よすぎ?会話や小芝居で、絶妙のツボがあるので、それを楽しむ感じでした。

 ショー、TAKARAZUKA 舞夢!最高でした。もともとギリシャ神話が好きなので、神話がショーになってるというだけで期待が膨らみます。
 カオス(暗転)から、ガイアとウラノスが花道せり上がり、歩み寄る。2人が出会い、神々の誕生。このオープニングから、わくわく。大階段から神々が現れ、舞台上金ぴかではなやか〜。ゼウス(春野)は、刻の霊のような髪型で降りてきました。銀橋に、黒のハデス(水)と青のポセイドン(霧矢)登場。ゼウスの背後からハデスが現れるのが好み。「私を見て、私に触れて、私の愛受け止めて♪」見てます。受け止めます。触ってもいいの〜?「空 雲 吹雪 波 風 嵐 夜 星 炎 砂 月 光」のところとか、この曲とても好き。

 コメディタッチのアフロディテ(遠野)。美の女神だけど、確かにそんなに頭のいいタイプじゃなさそうだから、こんなアフロディテもありだと思う。
 ゼウスとヘラの結婚式。ここにおさポスター登場。エロス(桜)の弓矢で、ゼウスが浮気三昧。ママが甘やかすから、やりたい放題のエロス。ヘルメス(彩吹)の「浮気は文化♪」ってどうよ?おさちゃん、すごく嬉しそう。相手誰でもいいんでしょ。ガニュメデス(愛音)は、ちょっと好みでなかった。衣装も違うし。一番美味しいところなのだから、もっと誘うようなセクシーな少年がいいな。すみません、不純で。
 パンドラの箱で、きりやんが女役。せっかくなのだから、最後パンツ脱いで、だるまになったらよかったな。爪がすごく凝っていました。

 今回1押し、ナルキッソス。ニンフたちに興味を示さないナルキッソス(水)。そこに水鏡に映る自分の幻(蘭寿)が現れる。男役同士の妖しいデュエットって大好き。ナルキッソスは、昔星組でもやったけれど、もっと幻想的な感じだった気がする。今回はフェロモンのかたまり水と、濃い色気の蘭とむの最強コンビ。幻がそんな目で誘惑しちゃダメでしょ。体温上昇しっぱなしでした。
 続く黒タキシードの場面。おさ、水、きりやん客席から登場。今回1階席だったので、至近距離をおさちゃんが通って、手を伸ばせば届くんじゃないかと思ってしまった。黒タキ総踊り、すごく格好いいです。フォーメーションが凝ってて、最高。これぞ宝塚です。

 脳天気な聖火ランナー、ヘラクレス。一番黒タキを見たかった蘭とむだけが、このシーンを外れてちょっと残念。ロケットを最後まで一緒に踊って、元気印なのはいいけど。
 一転してトロイア戦争。おさちゃん、刻の霊度UPしてます。物憂げに世界を見守るしかないゼウス。おさちゃんの歌声が劇場に響いて、素敵です。パリス彩吹、似合ってる。トロイ軍は青。水ヘクトル、TROYで一番格好よかったヘクトルです。今回のショーで、好みの役は全部水ちゃんがやってる。ギリシャ軍は赤。アキレス霧矢、ブラピ役ですね。微妙に赤組の方が濃い人が多かった。トロイの木馬ではなく、女たちがトロイ軍を誘惑し、ギリシャの勝利。ストーリーが分かりやすくショーになっていて、見ごたえのあるシーンでした。ダンスナンバーも格好よかった。

 ゼウスの嘆きから、ブルーの総踊りの新世界につながります。新世界は、見ていて格好いいというよりも、踊ってみたい振り。どのシーンも息つく暇もなくて、どこ見たらいいの〜?状態。楽しいショーでした。