花組
小さな花がひらいた
ル・ポアゾン


2011年11月3日
於・相模原グリーンホール



 大工の若棟梁、茂次は、江戸の大火で両親も店も失ってしまうが、誰の力も借りずに店を立て直すと意地をはっている。 店の手伝いをしている幼馴染のおりつは、同じく火事で焼き出された大勢の孤児たちの世話をしたいと茂次に頼む。 はじめは拒否していた茂次だったが、子供たちと触れ合ううちに面倒をみることを認める。 茂次とおりつはお互いに想いを寄せているのに、なかなか口に出すことができない。 茂次に大店の娘との縁談話が持ち上がったのを機に、2人は想いを通じさせることができた。

 悪い話ではないけれど、子役ばかり多くて宝塚で上演する雰囲気ではないし、古臭いというか、年配の人向けの商業演劇のイメージ。 ひとり意地をはり続ける茂次に対して、周りの人が余りにいい人すぎて、できすぎだろうって思ってしまった。 完成間際の家が燃えてしまうというのも、茂次を嫌う人の付け火だって言うくらいのほうがむしろ自然だし、話も面白くなるだろうに。 震災復興へのメッセージを込めたかった?としても、もうちょっと何とかならなかったのかな。

 茂次、蘭寿とむ。強情でワンマンでDV男。 口で言い負かされそうだからと言って、女性を殴るのはダメでしょう。 よく言えば、一本気の通った頼りがいのある男らしい青年。 このへんの設定が、すでに古い感じがします。 そんな意固地な茂次だけど、心根は優しくて、皆が慕う感じが出てるのは、さすがらんとむ君です。

 おりつ、蘭乃はな。気は強いけれど、けなげで可愛い娘。 茂次に殴られて、謝ることないのに。 孤児たちをほうきでぶったりもするけれど、本当に愛情にあふれているのが分かるので、全然暴力的には見えない。 今こんなことしたら、児童虐待だって大騒ぎになるんだろうな・・・ 愛情のある体罰は、暴行ではないと思うのだけれど。

 おゆう、花野じゅりあ。 あんな綺麗な着物を着て、汚らしい孤児の面倒を見てあげたり、いろいろ買い与えたり、いい意味で本当にお嬢さん。 茂次のことが大好きらしいけど、どう見ても育ちが違うので、失恋したことはかわいそうだけど、よかったんじゃないかな。

 くろ、華形ひかる。 おりつのことが好きだったんだよね?茂次のことも好きみたいだけど。なんか、どこまでも大物になれなそうな、人のいい人でした。
 あとは子供ばっかり。本当の子役ならいざしらず、子役のシーンも長いし、正直飽きました。

 「ル・ポアゾン」宝塚らしい華やかなショーでした。
 男役さんのスーツのナンバーが格好いい。らんとむ君がセクシーで、やっぱりスーツものが似合う。王子様みたいなのは、どうも好きになれません。
 闘牛士の場面も格好いいのだけど、みつる君がちょっと物足りない。 影の役は正2番手か、それ相応の生徒さんでないと。
 今回みつる君が2番手扱いで、いいシーンに沢山出ていたけれど、他の生徒さんに振り分けてもよかったのにと思いました。 かなめちゃんならさぞ似合いだったんでしょうけどね。

 まとぶんが観に来ていたので、「綺麗な人がいる」とか「どっちの私が好き?」とか、真飛ネタのアドリブがいろいろありました。