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花組
琥珀色の雨にぬれて カクテル 2002年6月4日 於・東京宝塚劇場 |
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BGM*琥珀色の雨にぬれて |
匠ひびきのお披露目公演にして、さよなら公演になるはずの作品。
それが病気療養のため、実質、春野寿美礼のトップお披露目のようになってしまいました。
古き時代のパリ。若き公爵クロードは、森で出会った一人の女に恋をする。女の名はシャロン。 マヌカン、つまりは商売女である。フィアンセがいるにもかかわらず、シャロンを追うクロード。 同じくシャロンを愛するジゴロのルイ。4人の男女の織りなす恋模様。わりとありがちなラブロマンスかも。 古き時代のパリといえば、矢代鴻。この人の歌うシャンソンは、ただそれだけでパリの雰囲気を作ってくれます。今回も、素敵な歌声を聞かせてくれました。 戦線から帰ってきたばかりの青年公爵。 純真で素朴なクロードの役は、チャーリーのキャラクターにあっている気がしていたので、おさに演じられるか、それよりトップのプレッシャーに負けないか、少し不安を感じつつ見に行きました。 幕開け、クロードが昔を回想しながら、少しキザな台詞を言うところ。 設定としては、クロードらしからぬキザな言葉をつい言ってしまったという感じなのが、おさちゃんの場合、いかにも歯の浮く台詞を言うジゴロのように見えてしまった。 やはりおさちゃんには落ちついた大人の男は演じられないのかもと思ったりもしたけれど、恋に盲目になった純真な青年時代はとても似合っていた。 おさちゃんは、とにかく花があるし、すらっとしていて笑顔が可愛いし、舞台に現われただけで目がいってしまう。 このおさ演じるクロードが、フォンテーヌブローの森で出会ったシャロンを、美しく軽やかで森の妖精のようなどと賞していた。 う〜ん、私としては、みどりちゃんよりおさの方が、その台詞にあっていると思うのだけど。 シャロンの大鳥れい。クロードより年上の、世の中を知り尽くした大人の女という感じでした。 チャーリーのクロードは見ていないので何とも言えないけど、おさちゃんのクロードに関しては、女性なんて全然知らないお坊ちゃんの初恋に見えた。 (少年の初恋は年上の女っていうのが相場です。)大鳥シャロンも、商売柄恋はラブ−なのに、ついクロードの純真さに心奪われた感じがうまく出ていた。 ルードヴィヒの幻のような繊細な役は厳しいと思うけれど、こういう大人の女は十八番ですね。 演技力のある娘役さんなので、クロードに心惹かれながらわざと捨て台詞を言って去っていくところも、嫌な女にならず、悲しい心情がちゃんと見えた。 おさちゃんが演じるはずだったルイを演じたのは、瀬奈じゅん。 ジゴロのタブーを犯して一人の女に入れこんでしまい、クロードと2人で、どちらがシャロンを射とめるかを競う。 結構面白い役だと思うのだけれど、割と普通っぽかった。というか、おさとあさこちゃん、タイプ似てるから対比が出ない。 チャーリーとおさだったら、もう少し差がでたと思うのだけど。あさこちゃんも、もう少しイメージが作れるといいんだけど。 クロードは、タンゴは踊れない、洗練されたパリの社交界なんて全然無理っていうキャラクターらしいのだけれど、おさちゃんが演じると、どう見てもそんな野暮に見えない。 クロードのフィアンセ、フランソワ−ズ(遠野あすか)と、その兄ミシェル(彩吹真央)は、出番が多かったわりにはあまり印象に残っていない。 花屋のノアーユ子爵の夏美よう。絶対、普通の花屋には見えない!ルイじゃなくたって、誰が見てもジゴロの元締めに見えます。でも、はっちさん好きです。 ショー、カクテルは、とても楽しめた。とにかくおさちゃんは花があって目立つので、ショーにはぴったり。 プロローグ、「ジーザス・ディアマンテ」風に始まるのかと思いきや、あっという間におしまい。 その後の、カクテルの歌は、すごく元気になれます。カンカンは、みどりちゃんを中心に元気で華やか。 バスケのシーン。もともとストリートっぽいのは苦手なのだけれど、オサちゃんを見ているだけで幸せだったので、OK。 教会のシーン。トート閣下がお出ましなされたのかと思った。このたまおさんがアサコちゃんを誘惑するのが、なんとも妖しくていい。 あさこちゃん、たまおさんの頬をたたいておきながら、その後の嬉しそうな笑顔はいったい・・・。 すっかり堕ちたらしい。たまおさんの不敵な笑みも印象的。 ラテンは文句なく楽しいです。おさちゃん歌上手いし、花あるし。エル・クンバンチェロ、最高です。 ちはるさん、大人の色気というか、いやらしさというか、素敵でした。 チャーリーズ・バー。そうかあ、チャーリーズ・バーなんだなあ、とちょっと寂しくなりました。 おさチャーリーも、俺でいいのかなぁみたいな弱音を吐いていて。この辺から、チャーリーの存在がちょっと垣間見れます。 そしてラスト、黒燕尾の男役さんが大階段をおりてくるナンバー。BGMは乾杯。 「今君は人生の大きな大きな舞台に立ち、遥か長い道のりを歩きはじめた、君に幸せあれ」(実際は、歌詞はなかったけれど。) まさに、チャーリーのためのこのナンバー。黒燕尾たちは、大階段を降りると銀橋に並び、皆でゆっくり本舞台を振り返る。 そして、大階段の電飾が「CHARLIE」と・・・。静かに流れつづける乾杯の曲。大階段を降りてくる匠ひびきの姿が見えるようでした。 満場の拍手。思わず目が潤んでしまった。宝塚初見の人には、何が何だか分からなかったでしょう、誰もいない舞台に向かって拍手しているのだから。 でも私には、ちゃんとチャーリーがさよならの舞台を踏んでいたのです。特別チャーリーのファンだったわけではないのに、どのさよなら公演より感動しました。 |