花組
くらわんか


2005年1月15日&16日
於・バウホール



 はじめてバウに行きました。青年館と違って、こじんまりしていていい感じ。席も前の方だったので、オペラなしで見られてよかった。

 枚方のくらわんか船の船頭、八五郎。仕事もせず、女房には逃げられ、知り合いに小銭をせびって、気楽なやもめ暮らし。見かねた家主の甚兵衛が、縁談を持ってきた。八五郎を祝おうと集まってきた、船頭仲間。肝心の花嫁は、公家奉公が長かったため、全く会話が成り立たない。貧乏神や、幽霊の小糸まで現われて、大騒ぎ。そこに家主の道楽息子が、遊女を足抜けさせて現われる。最期は丸く収まっての大団円。

 ベタベタの関西弁。落語は全く知らないのだけれど、たぶんほとんど全編落語ネタなんだと思う。上手く小ネタがつながっていて、息つく暇もないくらい笑いっぱなし。腹筋が筋肉痛になるんじゃないかと思った。

 八五郎の蘭寿とむ。本当にはまり役。2時間ほとんど出ずっぱりで、その間ず〜っと歌って踊って喋り続ける。もともと関西人だから関西弁が上手なのは当然としても、あのノリのよさはすごい。口調も表情もどんどん変わって、見ていて飽きない。とにかく大好き!

 始めの梅川忠兵衛の語りのところ、わざと真面目な顔しているのが、かえって可笑しい。真面目な顔まで面白いって、蘭とむくん、どんなもんよ?家主はんに「あんたえらいわ・・・好き」と言われて、「ほな結婚しまひょ」というところも面白い。
 貧乏神のびんちゃんをおどすときの、「かとぉ〜お、ちべとぉ〜なる(硬く冷たくなる)」という言い方がツボ。何回聞いても笑える。

 酔っ払って帰ってくるところ。ろれつが回らず、足元もおぼつかないで、犬に説教しているのが、すごく可笑しい。1日目の席が、ちょうど八五郎が座り込んで話しているときに、視線が合うような場所だったので、もうドキドキ。さらに通路を降りてきてすぐ横を通ったから、舞い上がってしまった。蘭とむって、やっぱり犬なのね。
 その後の、墓場で1人酒盛りをしているところ。「さしとぅ、さされとぅ(さしつさされつ)」という言い方が大好き。妙にしなを作って、色っぽいんだか何だか、たまりません。この辺1人芝居なのだけれど、すごく状況が伝わってくる。本当に上手いんだなあ。

 延陽伯の名前を読むうちに、段々お経に変わって行って、最後チ〜ンと鐘がなるタイミングがいい。じゅげむみたいに超早口でまくし立ててるのに、全然かまないし。八五郎のワンマンショー。延陽伯の台詞を聞くうちに、どんどん目を見開いて、3Dのような顔になっていくのが楽しい。笑うときは顔中口になってるし、迫力ある表情だ〜。
 杯をあけるシーンで、正座からすたっと2番プリエになるのもすごい。

 くらわんかの歌、あれだけ跳ねて、歌って、息もきれないってすごい。華城季帆ちゃんが、ソロで歌っているときに、ぜえぜえ息が切れていたので、たったワンコーラスがんばれよ!と思ってしまった。休憩前のトークで、ずっと出ずっぱりなんだから、という台詞を聞いて、1時間以上出ずっぱりの喋りっぱなしだったことに気づいたって感じ。

 貧乏神の望海風斗くん、研2だと思えない上手さでした。気が弱くて、八五郎にいいように使われているのだけれど、憎めない。貧乏神のお通りだ♪とLonly poor god♪の2曲の持ち歌も、なかなか。らんとむに必死でついていってるのが、蘭とむくんも風斗くんが可愛くって仕方がないみたい。
 挨拶で、「小糸とベストカップル賞をねらう」と言っていたけれど、一番ほほえましいカップルだった。

 幽霊の小糸、桜一花。チャーミングで可愛い。幽霊ブキウギも、らんとむと風斗くんの3人で楽しそう。女の子の中では、一番生き生きしていて(って死んでるんだけど)、好きだった。

 延陽伯の桜乃彩音。何を言ってるのか分からない公家言葉、すっとんきょうな声の、ちょっとずれたキャラクター。彩音ちゃんのおっとりした雰囲気に、十二単の扮装は似合っていた。後半「あんけらそー」を連発する頃には、ちょっと迫力が足りない気もしたけれど、延陽伯には合ってるかな。
 最後、八五郎に「いろは」という名前をつけてもらっていた。八五郎→五郎八→いろはって、殿にも主水にも捨てられたいろは!?

 若手のアンサンブルも上手かった。峯乃一真くんは、ちょっと声高すぎるかな?役の雰囲気には合っていたけれど。煌雅あさひくん、研1なのに立派。汝鳥さんは渋くて、さすがです。

 落語の小ネタのほかにも、梅川忠兵衛とか、曽根崎心中の徳兵衛、お初とか、ばらばらの話が最後きれいに1つにまとまって、脚本も上手くまとめたな〜と思いました。他の2パターンのキャスティングも見てみたかった。
 カーテンコールは、全員が一言づつ挨拶したのだけれど、2回ともちゃんと内容が違っていました。2日目はVISA貸切だったので、VISAネタ満載。緞帳が降りきるぎりぎりまで、アチチュードのままプリエして、隙間からバイバイしてくれる蘭とむくんが嬉しかった。
 なにがどうという感想が書けないくらい、とにかく楽しかった〜!