花組
ラスト・タイクーン
TAKARAZTKA∞夢眩
2014年4月18日
於・東京宝塚劇場

 蘭とむのさよなら公演。 昔見た真矢みき主演の「失われた楽園」もラスト・タイクーンの話だったけれど、それとはちょっと違ってました。(ちょっとうろ覚えなところも多い)
 ハリウッドの映画プロデューサー、モンロー・スターは超やり手ではあるけれど、傍若無人なワンマンで制作会社の職員からは煙たがられていた。 ある日事故死した妻に生き写しの女性キャサリンと出会う。 妻の面影を求めてキャサリンに近づくモンローだったが、やがて身代わりではない真実の愛に気がつく。

 モンロー・スター、蘭寿とむ。オレ様キャラは蘭とむには似合わない。 確かに大人の魅力はあるし、スーツ姿も様になってるし、 膝を組んで椅子に座っている姿とか、オープンカー乗ってるところとか、クラブで踊るところとか格好はいいのだけれど、役として素敵じゃない。 ワンマンに振る舞っているところより、1人の男として苦悩したり、愛に必死になってるところのほうが素敵に見える。 ラストなんだから、もうちょっと蘭とむに似合うキャラクター設定でお願いしたかった。

 モンローの亡き妻ミナ&キャサリン、蘭乃はな。 マヤみきの時は、亡き妻の面影をどこまでも引きずって、新しい恋人を自分の理想通りに作り上げていく話だったけれど、今回はそうじゃない。 最初の妻ミナからしてモンローが自分の理想通りに作り上げた女性で、それを最愛の妻とか言って引きずるって、なんだかよく分からない。 ミナがモンローのことをどう思っていたかも全く分からない。 ありのままの自分でなくても、それでもモンローに愛されていることが幸せだったの? それともありのままを見てもらえないことが苦しくて、事故とか言いながら実は逃げたかった? 蘭はなの演技力も追いついてなくて、2役の演じ分けもいまいちだし、全然説得力がない。。 無茶を承知で、ミナをすみれ乃麗ちゃんが演じてくれたら、もっと説得力があっただろうにって思ってしまいました。 歌声も細くて不安定で、これで次回エリザベートとは・・・

 ブレディ、明日海りお。 少年だったモンローを拾ったんだよね?会社での立場もモンローより上なんだよね? 全然年長に見えないし、若造がいきがってるだけとしか思えない。 蘭とむと対峙するだけの存在感もなければ、情事のあとも全然やばい感じしない。本当に大人の色気とか余裕が出ない人なんだと再認識しました。 これで次期トップって・・・2人揃って大丈夫?

 ブロンソン、望海風斗。 労働者の権利を守ると言って行動を起こしたところは、リーダーシップがあって格好いい男なんだと思ったのですが・・・ 実際あのナンバーすごくまとまってて格好よかったし。 でも、まさかのDV男。 女を力ずくでねじ伏せて、正義感どころか裏金もらってニヤリとするような卑小な男。 だいもんの演技がうますぎるだけに、本当に嫌な奴でした。

 ラスト白いスーツ姿の蘭とむが、自分の人生を回顧しながら感謝を述べるシーン。 一応モンローから残された人への言葉という形はとっているけれど、思いっきりさよなら仕様で、思わずうわっやられたという感じです。 「thank you」連呼するし、宙を飛んで花咲く大地に降りたみたいな歌詞はあるし・・・。
 本舞台上では、モンローの墓参りに来る人たち。 内面のやさしさを知ってる人もいたんだという風で、貴方が去っても後のことは我々が守るという台詞がまた来るな〜と思ってました。 銀橋の蘭とむをメインで見てたので、あれは一花ちゃんだと思い込んでた。 新公や特別公演でもよく組んでたし、こにくい演出だなって勝手に感動してたのに・・・ 蘭はなだった! なんで?

 もうちょっと素敵な作品かと思っていたのに、なんかいまいちでした。アンサンブルのパワーは良かったんですけどね。

 ショー「∞夢眩」は楽しかったです。 幕に宝・塚・夢・眩の4文字が妙に和風に描かれていて、和もの!?と思ってしまいましたが、中身はハデハデでした。

 ラテン、スパニッシュ、黒燕尾と、とりあえず蘭とむでこの3点を押さえておけば間違いない。 ひたすら熱くて、腰回り18禁な色気を振りまいて踊って、よっしゃ蘭とむ!って感じのショーでした。

 南国の場面(釣り)、あそこは天真みちる君の満面の笑みにやられました。 かわいいよ、うん、もう全面的に許せる。

 銀狼は、どこを見たらいいのか分からないくらい格好良かった。 蘭とむを見てる余裕がないくらい。みんなヘアスタイルも凝ってるし、すごいモヒカンがいる!と思ったらよっち。 よっちもこれで退団かあ。 すごいダンス上手い子いたし、さおたさんが渋くていい感じだし、あっちもこっちもすごかった。

 最近目が離せないモロイ兄弟。マイティは笑顔だけで幸せになれます。 柚かれーちゃんは何でしょうね、あの存在感。 芝居でもショーでも思わず目が行ってしまう。 そして、またもブラックエンジェルなジョーカーを演じていました。 あの色香はすばらしい。 ジョーカーの歌手、和海しょうくんはすごく歌上手くてびっくりでした。 だいもんの心地よい歌声も好きです。

 蘭とむのお耽美な王子様の軍服はあまり似合わないと思うんですけど、好きな人もいるのかな。 蘭とむはばしっとスーツで、キレのある腰を見せてくれるのが一番格好いいと思う。 銀橋に花組メンズが勢ぞろいしたところは、花組のDNAがちゃんと継続されていくって思えてうれしかったです。 その組で育ったトップさんって、やっぱり組の団結力も強まるし、今は失われつつある組カラーも感じられて、やっぱり大事です。 大階段の黒燕尾も花組らしくてよかったです。