ルートヴィヒ2世 花組
ルートヴィヒ2世
asian sunrise


2001年3月16日
於・東京宝塚劇場
幻



 バイエルン国王ルードヴィヒ2世が愛したものは、自らが生み出した幻だった。 狂王といわれ、同性を愛したルードヴィヒ2世。宝塚でどういう描き方をするのだろうと思いながら見に行きました。

 ストーリーとしては、ルードヴィヒ2世が自分の中に創り出した幻とたわむれ、その姿が他の者には狂人に映るという、幻想的なものになっていた。 狂王というにはあまりに繊細で美しいその姿は、愛華みれにはよく似合っていた。 けれど、ビスマルクやディルクハイム伯爵が褒めるような政治家としての手腕や、男気のあるところがあまり見えてこなかった。 私個人的には、もう少し男らしいところがあったほうがよかったと思う。特にラスト、決意を固めて幻のもとに向かうのだけれど、タモちゃんはどうも迫力に欠けて・・・。

 同性云々というのは、さすがにあまり大っぴらにすることはできないものの、ルードヴィヒ2世の愛華みれと、若い厩番頭ホルニヒ役の春野寿美礼のからみはよかった。 おさちゃんは、国王に言い寄られても嫌がる風もなく、御意のままにという感じで、ういういしかった。 ・・・というか、むしろ誘ってない?2人のデュエットダンスがとても美しかった。(とても某エステCMのムダゲダムなどという謎の人物と同じとは思えない)

 匠ひびき演じる精神科医グッデン博士は、中途半端な役だった。 国王を狂人だと言い、その地位から落としいれようとしているようにも見えるのだけれど、精神科医という立場ではその必然性が全く見えない。 悪者っぽく演じれば演じるほど、この人は一体何なのだろうという疑問ばかり増えていく。 むしろ、国王の地位を狙う黒幕の王族か政治家として描いたほうが、動機付けとしては分かりやすかったと思う。

 王弟オットー(瀬奈じゅん)は、何かにおびえる少年のようだったけれど、本物の狂気にしたほうが切迫感があったと思う。

 ルードヴィヒ2世の見る幻を演じていた大鳥れいは、ビジュアル的に幻というには存在感がありすぎたかも。もっと儚げなムードがあるといいのだけれど。

 メリハリの少ない感じだったが、舞台そのものは全体に夢々しく、アンサンブルも美しかった。