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花組
マラケシュ・紅の墓標 エンター・ザ・レビュー 2005年6月14日 於・東京宝塚劇場 |
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BGM*星のベドウィン
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砂漠で行方不明になった測量隊員の夫を探して、最果ての地マラケシュまでやってきたオリガ。人ごみで道に迷ってしまったオリガを、リュドヴィークがホテルまで案内する。どこか影のある男リュドヴィーク。彼はオリガに身の上を話す。パリで巻き込まれた事件で、恋人の罪を自分が着て身を隠したこと、今は仲間のレオンと共に詐欺師をしていること。オリガもロシアの亡命貴族で、パリには哀しい思い出がある。お互いの心の傷を慰めあう、リュドヴィークとオリガ。2人で新しい生活を始めようと言うリュドヴィークの前に、彼のもと恋人イヴェットを執拗につけまわす怪しい男、ギュンターが現われ、刃を向ける。 荻田ワールドというのでしょうか、独特の雰囲気が漂っています。常に舞台上で踊っている蛇(鈴懸)。としこさん、本当に上手。アンニュイなムード。砂漠の蜃気楼のような幕切れ。好みがあるみたいですが、私はこの独特の世界観が結構好きだったりします。 リュドヴィーク、春野寿美礼。出てきたときから、ただの親切な好青年ではなさそうと思っていたら、過去を背負っていました。最近バカップルが多かったので、久々に大人のおさちゃんが見られてちょっと嬉しい。 ラスト、手負いのリュドヴィークがオリガと声を交わすシーンが好き。同じく一刺しされた蘭とむがあっけなく息絶えてるのに、粘りに粘るおさ。トップさんですからね。 オリガ、ふづき美世。ん〜、ふーちゃん的には精一杯大人の女なんだろうけど・・・。あともう少し、しっとりした感じとか、はかなげな感じとかあるとよかったかな。ロシア貴族、たぶんかなり高貴な家柄なんだと思うけど、ふーちゃんはどうしても庶民ぽい。結局自分の意思は持てたの?あと一歩、芝居が浅くて残念。 行方不明になった夫を探すのは、夫を愛しているからではなくて、夫に対する愛が本物かどうか知りたいから。この理由はなんとなく分かる気がする。きっと特にこれといった不満があるわけではないけれど、燃えるような想いもないまま、すれちがってる夫婦なのかな。 オリガの夫クリフォード、彩吹真央。最初と最後しかほとんど出番がないけれど、役にあってる。優しい夫。この優しさが、オリガが夫への愛を感じられない原因なのかも。最後のシーンで「僕たちはこれから始まる」という台詞。たぶんすれ違いを感じていたのはクリフォードも一緒だったんだろうけど、オリガを見て大丈夫、やっていけると思ったから出た台詞。いい台詞なんだけど、個人的には、もうちょっと重みのある言い方をしてもらいたかった。生と死の狭間をさまよってきたんでしょ?オリガとこれから生きていこうと決心してるんでしょ?ちょっとさらっと流しすぎたかも。 最適役だったのが、リュドヴィークのもと恋人、ムーランルージュの花形スターだったイヴェット。遠野あすか。凛とした女性の役はあすかちゃんの得意役だけれど、本当に舞台に出てきた瞬間から空気が変わる。単に気の強い女性なだけではなくて、淋しい女心も見えるし。これからいい人生を送れるといいね。 樹里咲穂のレオンも、同じく適役。おさちゃんの詐欺師が詐欺師っぽく見えないのに対して、樹里ちゃんのペテン師はいかにも。過去を背負ってるとか生きていくためとか、そういう暗いものなしに(影がないわけじゃないんだけど)天職でペテン師をやってる感じ。お母さんとの会話も、いかにも息子と言う感じでいい。とにかく樹里ちゃんは舞台を明るくしてくれる。 不安になった恋人の通報から、仲間の銃で命を落としてしまうけれど、樹里ちゃん特有の笑いながら散っていくのが好き。彼の居場所はどこにあったんだろう。 イヴェットのストーカー、怪しい黒ずくめの男ギュンター、蘭寿とむ。ジャワの踊り子のハジ・タムロンのような役回りだけれど、今回はタムロンの時ほど無理してる感じがしない。らんとむ=明るいだけのイメージから、少し抜け出たのかな。 詳しいことは何も描かれていないので、ストーカーがいきなり暗殺者に変わってリュドヴィークの前に現われるので、ちょっと??狂気のまま刺されて息絶えるけど、金のばらが本来の持ち主に帰って、もしかして幸せだったりするかな。 ショー。 幕開け華やかなのだけれど、男役さんのスカート燕尾はもうやめて。今回3段フリルまでついてて、絶対変。それと男役トップの女装もやめようよ。気持ち悪いって。(本人気に入ってるみたいでしたが。) 宝くじ抽選貸切ってことで、女装おさちゃんは「宝くじで夢を見た後は、宝塚で夢をみてねえ〜ん」 ピエロ樹里ちゃんは、客席で「宝くじ当たりました?当たってたらこんなとこにいないですよね」って。樹里ちゃんのショーは、元気一杯で好き。猛獣使いも素敵だった。 ロケットボーイの蘭とむ。もうロケットは卒業させてあげて。元気なお兄さんもいいけれど、そろそろ大人の色気の蘭とむを堪能したい。フィナーレの赤いデュエットとか素敵なんだから・・・ |