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花組
マラケシュ・紅の墓標 エンター・ザ・レビュー 2005年6月24日 於・東京宝塚劇場 |
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BGM*星のベドウィン
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3回目のマラケシュ。一般受けはよくないらしいこの作品、私は結構好きです。回数を重ねるたびに、いい作品だなーと思う。今回は、ストーリーは見なくていいと、好きなシーンだけ見ていました。全編通して流れるエキゾチックな音楽が、とても耳に心地よい。 リュドヴィーク(春野寿美礼)とイヴェット(遠野あすか)のシーンは、どこも涙を誘います。 再会のシーンで、イヴェットが「過去の傷だ」と言うところ。傷=悪ではないんですよね。まだ癒えない傷。愛してやまない感情。痛々しいです。 リュドヴィークも、常にイヴェットのことを想っている。プロローグの歌。オリガ(ふづき美世)に向かって言う、「人生は、間違いだらけです。それが間違いだと認めたくない」という台詞。 そして、別れ。今も愛しあってるのに、過去の傷をなめあうような、後ろむきな愛しかないことを知って、リュドヴィークはあえて別れを選ぶ。砂漠の地で出会った、幻想のような愛(と言えるかどうか)に賭けて。結局リュドヴィークは、どこにも安らぎを得られないまま、死んでしまった。オリガには夫のもとでの幸せを、イヴェットには生きる希望を与えて。 あすかちゃんと芝居するおさちゃんは、本当に愛にあふれている。ふーちゃんとの芝居にあまり心が感じられないので、リュドヴィークとイヴェットの愛の物語のような気がします。 イヴェットは、リストカットしたのは今回が初めてじゃないのかな。そこまで自分を追い込んで、ぼろぼろになって。ギュンターの存在もあったのだろうけど、恋に振り回されて。リュドヴィークとの別れを経て、成長を感じました。 まわりを取り囲む、いろいろな愛。 レオン(樹里咲穂)を想うファティマ(華城季帆)。愛するがゆえに、恋人に置いていかれることの不安から、結局は恋人の命を奪ってしまう。哀しい女心です。 アマン(桜一花)は、特に愛を語るシーンはないけれど、リュドヴィークを見る目が切ない。リュドヴィークの哀しさを知って、惹かれているのに打ち明けられない、片思い。 ソフィア(桜乃彩音)。有力者の娘として、何不自由なく育ったお嬢さん。父のもとで働くリュドヴィークにあこがれていたけれど、最後には別の男性と結ばれたらしい。たおやかなのに、言うべきことははっきり言う。この作品の中で、唯一悲しい恋をしていない女性かも。 ソニア(矢代鴻)。若かりし頃コルベット(夏美よう)と恋をして、イヴェットが生まれた。けれど、コルベットに告げないまま姿を消した。娘のイヴェットにも、自分が母だと言うことを隠したまま、付き人として常に見守ってきた。パトロンとしてイヴェットの前に現われたコルベット、マラケシュで再会したコルベット。若い頃の別れの傷がうずくこともあっただろうけれど、ソニアは大人だから、何事もないように振舞う。そして別れ際、「幸せになるわ、意地でも」という台詞。格好いい女性です。 オリガにも過去の失恋とかあるんですけどね。それもいまいち。 ヒロインのオリガ、ふーちゃんの演技が好きでないので今回はほとんど見なかったのだけれど、その分いろいろな人間模様が見られました。 レオン。つとめて明るく振舞っているけれど、やはり心の定住場所をもたない人。樹里ちゃんの死に際は、やっぱりいい。 蛇(鈴懸三由岐)。自然の脅威とか、エキゾチックな雰囲気とか、1人であらわしていた。ダンスもすばらしく上手いし。無感情な感じで、最後リュドヴィークとレオンと共に砂漠で踊るのを見ると、この2人の魂はずっと砂漠で彷徨ってるんだろうか、とも思う。 ギュンター(蘭寿とむ)。狂気に取り付かれて怖いはずなのだけれど、ファンビジョンというのは不思議なもので、格好いい。パリの幻想のシーンで、螺旋階段に物憂げにもたれている姿に、ドキドキ。 ショーは、樹里、園加、らんとむの3人をメインに見ていました。ダンスの上手い人、男っぽい人が好き。 樹里ピエロのアドリブ。「月組の剣幸さんじゃないですか。私、初舞台の時に川霧の橋に出たんですよ。○○と○○(主演2人の名前らしい。見てないから分からない)の真似をします」と言って、うそくさーい芝居をひとしきり。へらへら笑って歌に入ろうとしたら、1フレーズ早かったらしくて、「間違えた」とか言いながら、また歌い始めてました。間違えようが、何しようが、すべて樹里ちゃんワールドに持っていってしまう、すばらしいエンターティナーです。これで退団は残念。 猛獣使いとニューオーリンズ。どちらも樹里&あすかのシーンですが、とても好きです。 アフリカンな園加ちゃんは、とても素敵なんだけど、アランフェスは・・・。つくづく男らしいんだと思う。 らんとむのロケットのアドリブは、「惚れるなよ」いや、もう惚れてるんですけど。でも今回惚れたのは、としこさんとのデュエットだけかな〜。あとは超明るい青年ばかりなんだもん。 |