ジェラール 花組
アデュー・マルセイユ
ラブ・シンフォニー


2007年11月22日
於・東京宝塚劇場
マリアンヌ



 2大マフィアが支配する港町マルセイユ。この街で少年期を過ごしたジェラールは、旧友シモンを訪ねて戻ってきた。シモンは夜の歓楽街を牛耳るマフィア、オリオン派のボスであり、ジェラールは禁酒法のアメリカにワインを密輸するルートを確保するために帰郷したと語る。
 だが、ジェラールの本当の目的は、ワインの密輸ではなかった。少年期、事件に巻き込まれて少年院に入れられていた頃、ICPOに見込まれ、捜査員の訓練を受けていた。シモンのカジノで発見された偽札の製造ルートを探ること。ジェラールの真の目的は、旧友シモンにも、街で出会い心惹かれる娘マリアンヌにも告げることが出来ない。

 幕開け、「ボルサリーノの男たちとルージュの女たち♪」のダンスナンバーが格好いい。組替えでダンサーはいなくなってしまったけれど、伝統的なダンスの花組のイメージそのままの、大人っぽくて都会的なダンスシーン。そこに現われる2大マフィアのオリオンとスコルピオ。格好いいプロローグです。
 全体としては、ミステリー映画をみているような感じでした。

 ジェラール・クレマン、春野寿美礼。陰のある大人の男。恋人と幸せになるよりも、1人孤独に生きていくことを選ぶ男。おさちゃんは、こういう役がぴったりです。もともとこういうストイックな役が似合うのだろうけれど、組替えが続いて、一緒に芝居してきていた瀬奈、彩吹、蘭寿の3人がいないので、なおさら孤高の人に見えてしまう。まとぶんや壮くんや彩音ちゃんが薄情というわけではないけれど、このメンバーが愛しくて、別れるのがつらくて、見送る方も切なくて・・・という感じは、演技だけではなくて、長く一緒にいたからこそにじみ出てくるものがあると思う。組替えが多くて気の毒とはいえ、こんなに長くトップを続けてしまったことが問題なのかもしれないけど。
 余談ですが、ジェラール・クレマン。「炎のボレロ」のシメさんの役と同姓同名。ビデオでしか見たことないのですが、すごく素敵な役で印象が強かったので、同姓同名ってのはちょっと・・・ね。このジェラールはこのジェラールで素敵なのですが。

 シモン、真飛聖。ダークスーツにオールバック、ダンディで格好いいマフィアなのだけれど、ボスというよりは若。スコルピオ派のボス、はっちさんがあまりにもボスらしいから。オリオンはさそりには勝てないです。ジェラールとの友情、ジャンヌの尻に敷かれてる感じ、酔っ払って馬鹿してるところは可愛くていいけれど、もうちょっとキザったところも見たかった。

 マリアンヌ、桜乃彩音。婦人参政権運動のリーダーにしては、ほんわかした雰囲気。別にとんがった女性である必要はないけれど、学問も究めたい、男性の支援は出来れば受けたくないという強さが感じられない。一生懸命やっているのは分かるけれど、頑張ってますというだけでなく、そろそろそれ以上のものが見たい。
 素朴で正直なところがマリアンヌの魅力だろうけれど、壮君のモーリスはともかく、おさジェラールが異性として魅力を感じると思えない。カップルとしては、あまり似合いではなかったかも。

 ジャンヌ、愛音羽麗。ショーのトップダンサーで、シモンの彼女。みわっちの女役は結構好きなので、今回も華やかで可愛い大人の女っぷりが好き。強そうだけれど可愛げがあって、シモンとはうまくやって行きそう。

 モーリスの壮一帆。マリアンヌに惚れているから親切なのかと思っていたら、裏があった。でも悪にはなりきれなくて、ずっと良心の呵責を感じている。壮君はやっぱり爽やかイメージなので、完璧な悪人には見えない。いい人キャラ以外も出来るようになるといいのだけど。

 ジオラモ・ジュリアーニ、未涼亜希。そこまでいかにも怪しげなイタリアンマフィアでなくても・・・。何か存在感が面白い。

 ショーは群舞が多くて、途中睡魔におそわれました。ダンスが得意でないおさちゃんのソロは、演出として違うと思う。とはいえ、歌い方もクセが強くなってきて苦手。もともとは好きな方だったのですが、ちょっと長すぎたな〜。