花組
オーシャンズ11

2013年4月17日
於・東京宝塚劇場



 詐欺罪で服役していたダニエル・オーシャンが、仮釈放で出所してきた。妻のテスにはラスベガスのホテル王、ベネディクトという恋人がいて、ダニーに離婚を求めてきている。テスに未練のあるダニーは、ベネディクトが裏であくどい商売を行っていることを知り、ホテルの金庫から金を盗み出す計画を立てる。旧友のラスティをはじめ10人の仲間を集め、Ocean's11として、強固なセキュリティを誇るベネディクトのホテルの金庫破りに成功する。
 星組の再演。少し変わったシーンもあるようですが、大筋は同じ・・・だけど、演じる人が変わると雰囲気が変わるのが、芝居の面白いところです。

 ダニー・オーシャン、蘭寿とむ。 礼音くんほど肉体派という感じはしなくて、頭も良さそうだし、余裕ある大人の男でした。蘭とむの大人の男は安心して見ていられます。 そんな大人の男が、思いがけずテスに「惚れた」というのが伝わってきました。 やってることは犯罪なんですけどね、頼りがいあって信頼していいような気になってしまいます。

 テス、蘭乃はな。 自分の意思はしっかりしているけれど、何がなんでもスターになるという野心は全然ない、割と素人っぽい子。 真っ直ぐで若いところにダニーは惚れたのかな?

 テリー・ベネディクト、望海風斗。 不幸な生い立ちゆえ、世間に復讐してやろうと思って、真面目にワルをやっている感じがしてしまいました。 ベニだと、自分がスーパーマンだと言って調子に乗ったり、部下を足蹴にして悦にいったりしているのが分かるのだけど、風斗君は真剣にワルを演じている感じがして、何だか痛々しい。 机に乗ったり、ブルーザーに乗ったり、そういう格好つけなパフォーマンスも似合わない。 テスのことも本気で好きだったんだろうなと思えて、可哀想になってしまいます。 法に触れるようなことをせず、真面目に実業家してた方があってただろうに、どこで道を間違えたんだろうって感じでした。

 ダイアナ、桜一花。 つきぬけたわがままっぷりが気持ちいい。 あんなに小柄なのに、大の男も逆らえない強さ。ちょっとカルロッタを思い出すけれど、全然憎めない。 ベネディクトを見限ってさっさと次の人生に向かっていく潔さも、この人の向かうところ敵はないでしょう。

 ラスティ、北翔海莉。 すずみんほど頭脳派に見えない。ダニーが一人で計画を立てて、それに乗じて楽しんでるだけ。 リビングストンを迎えに行く場面でもふざけていて、あそこはリビングストンの紹介シーンでもあるわけだから、もうちょっと鳳くんを立てたほうがいいと思うし、 FBIらしくなくて芝居としても違和感ありまくりでした。 医師のシーンはまあお笑いでもいいけれど、ふざけ過ぎは芝居を壊して好きじゃない。

 バシャー、春風弥里。めちゃくちゃ格好いいです。 立ってるだけでも格好いいけど、バーカウンターに座ってる姿がまた最高。 前髪ハラリのヘアスタイルがセクシーで、マジックも披露してくれて、嬉し楽し。 スーツ姿もイケてるのですが、ジョルジュのコスプレもStreak of Lightの悪夢のピエロを思い出します。 ボーイの変装を脱ぎ捨てて、素のバシャーに戻る瞬間が何とも格好いい。 ペンライトを持って銀橋を渡るところは、みーちゃんはもちろん格好いいのですが、ホーンテッドマンションのようにオケボックスから顔を出す3人が面白かった。

 モロイ兄弟の水美舞斗&柚香光。イケメンなのだけれど、言動がキュートで、この兄弟は美味しかった。 おそろいの赤い髪にしているのもあるけれど、背格好が似ていて、なるほど双子。 ソールの芝居のレッスンでもいじられてるし、何かと目が離せなかった。 今後が楽しみな2人です。

 個々の役の好みはあるけれど、11人全員が勢ぞろいしてのナンバーは、最高に格好よかったです。 芝居が分かりやすくなっていた気がするので、そのあたりが変更ポイントなんでしょうね。 1本ものの宿命ですが、フィナーレをもうちょっと見たかった。