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花組
2006年1月13日 |
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恋人ジュディッタ(遠野)と共に、カヴァーレ侯爵家の屋敷に帰ってきたヴィットリオ(彩吹)。自分はユダヤ人なので、ヴィットリオとは結婚できないと悩むジュディッタに、ヴィットリオは自分の曽祖父母の話をはじめる。 イタリア統一に揺れるイタリア。革命軍で活躍をおさめたヴィットリオ(春野)は、晩餐会で出会ったカヴァーレ公爵家の跡継ぎアンリエッタ(ふづき)と恋に落ちる。アンリエッタには、ロドリーゴ・フォンティーニ伯爵(真飛)というフィアンセがあり、平民出身のヴィットリオとの恋は許されなかった。 最後に貴族として認められたヴィットリオは、アンリエッタと結ばれる。その話を終え、いつか人種差別がなくなる日まで別天地で暮らそうと、肩を寄せ合うヴィットリオとジュディッタ。 ヴィットリオ、春野寿美礼。軍服、マントを風になびかせながら、岩場に立っている登場が素敵でした。最初の革命家のナンバーも格好いい。 貴族の父に、母子共に捨てられて、いつか見返したいという思い。子供時代のシーンを入れるのは基本的に好きではないのだけれど、今回はなかなか効果的だったと思う。狂ってしまったお母さん(華城)も上手いし、ヴィットリオの哀しさが伝わってきた。子供の絶叫はもうちょっと短くていいかな。 ただ、アンリエッタとの場面に全く愛を感じなかった。話の根底が、許されざる恋、あきらめられない恋なのに、肝心の主演2人の恋心が伝わってこないのはつらい。 アンリエッタ、ふづき美世。ヒロインらしい表情、恋心、何も感じられませんでした。ふーちゃんには、宝塚特有のヒロインは無理なのではないかと、前回今回共に思ってしまった。 ひ孫ヴィットリオの彩吹真央。優しくて、いいところの坊ちゃん全開。何不自由なく、たっぷりの愛情を受けて育ったんだろうなという感じ。結構歯の浮くような台詞を言っているのだけれど、嫌味なキザにならないのがいい。 ジュディッタ、遠野あすか。毎回、全然違う女性を見せてくれて、あすかちゃんは本当に上手い。恋人に危害が及ぶのに臆病になっているけれど、愛し愛される喜びに満たされているジュディッタ。きりやん(ファビエル)にも女冥利に尽きる愛の告白をされていたけれど、今回はゆみこちゃんから毎回うらやましいほどの愛をもらえて。 ストーリーテラーのような役回りは好きではないけれど、今回のゆみこ&あすかは、未来に夢をつなぐ感じがよかった。 ロドリーゴ、真飛聖。同じ貴族でもゆみこちゃんと同じではなく、貴族としての責任やプライドがしっかりあって男らしい。ヴィットリオに決闘を申し込むところは、まさに貴族度満開。その割に、最後身を引くのがあっさりしすぎていたのが物足りない。 ヴィットリオの旧友で、革命家のニコラ、蘭寿とむ。故郷を想う気持ちが熱く、優しい青年。最初の革命軍のダンスシーンも、実は蘭とむビジョン。きりっとした軍服姿も格好いいけれど、故郷に帰ってからのニコラがいい。皆に慕われる兄貴で、妹や仲間思いで。戦っているときとは違う、楽しそうな様子。蘭とむくんの笑顔は、こちらまで楽しくなります。 誘拐したマチルダにも、いろいろ気づかって優しい。もともと妹思いの兄貴だから、重なって見えるんだろうけど。マチルダが差し出したネックレスを断るところ、彼なりのプライドが格好いい。政府軍に蜂の巣にされてしまうニコラ。不知火(野風)の時には死にそうに見えなかったとむ君だけど、今回はかなり弱っていた。あんないい人を殺すなんて、ひどい! ニコラの妹ルチア、桜一花。文句なしに可愛い。 マチルダ、桜乃彩音。ふんわりした、深窓の令嬢というのはよく似合っているのだけれど、いつも同じ役つくりに見える。次期ヒロインなのだから、そろそろ違う雰囲気も出してもらいたい。 最後、ヴィットリオが父に認知されて、晴れて貴族としてアンリエッタと結ばれる。これがちょっと腑に落ちなかった。貴族である父に捨てられて見返してやりたいと思っていたのに、結局その父に認められて、自分が貴族の仲間入り?それでアンリエッタと結ばれて、ハッピーエンド?男気のあるヴィットリオだったので、そんなにあっさりその提案を受け入れるかなあ。平民の身分のままアンリエッタと結ばれてこそ、見返したって言うんじゃないの?ていうか、故郷のために命を落としたニコラたちの立場は?ヴィットリオ、自分の恋さえ成就すれば、もう貧しい人たちはどうでもいいの?と、唐突なハッピーエンドに違和感を覚えてしまった。 ゆみこヴィットリオとあすかジュディッタが、明日に向かって歩み始めるエンディングは、ほっとする。 ショー、Asian Winds!5年前のAsian Sunriseのイメージであまり期待していなかったのだけれど、予想外に楽しめた。 プロローグ、モンゴルの男役の総踊り。大草原を駆け抜けていく汗血馬のイメージがあって、とても格好いい。見覚えのある沖縄のナンバーは、元気になる。一転、上善如水は幻想的で、ダンスも素敵。 期待薄だった服部良一メドレー。山寺の和尚さんに合わせて、あれだけキザる男役さんもいないでしょう。カンカン娘や東京ブギウギはとても楽しそうだし、最後にはまあいいか〜という気になりました。あすかちゃんにちょっかいかける蘭とむくんの小芝居が面白い。 現代韓国のダンス。園加ちゃんの男らしいダンスから目が離せません。サンパギータの水色の軍服がよく似合うまとぶん。芝居でもマントをひるがえす姿が一番さまになっていて、正統派コスプレが似合うのは星組の伝統?続いて蘭とむくんのシーンで、ファンには嬉しい。黒燕尾のロケットは、いつもとちょっと目先が変わった感じ。 アジアと言っても全編民族舞踊風ではなくて、ほどよく宝塚らしくてよかった。 |