花組
サン・テグジュペリ
CONGA

2012年9月28日
於・東京宝塚劇場



 「星の王子さま」の作者サン・テグジュペリは、危険なパイロットという仕事の傍ら、作家としても活躍していた。 妻コンスエロやパイロット仲間との交流に、「星の王子さま」の幻想世界が絡み合ったストーリー。
 芝居と思って見るとなんだか盛り上がりに欠けて面白くないので、これはショーなんだと思って見るようにしていました。

 幕開け、星の王子さまの扮装の蘭とむ。え?蘭とむが星の王子さま!?という微妙な空気感は置いておいて、幻想的で絵本そのままの綺麗なプロローグでした。 一転、飛行機の脇に立つサン・テグジュペリ(蘭寿とむ)。 脚立が見切れてしまうのは残念でしたが、格好良かったです。

 悪天候の中、飛行機を飛ばすことに不安を感じるパイロット仲間に対して、そんなこと言うならクビにする的な発言をするサン・テックス。 勇気と無謀は別、何傍若無人なことを言ってるの?という印象しか残らず、ファーストインプレッション最悪です。
 クラブで出会ったコンスエロ(蘭乃はな)に一目惚れして、強引に俺の妻になれと言うサン・テックス。 前幕に引き続き、強引で感じ悪い男という印象ばかりが目立ってしまって、非常に残念。 コンスエロと踊るタンゴはなかなか見ごたえがありました。
  今まで割とつかみどころのない印象だった蘭はなちゃん、今回インパクトの強い女性役で、こんなに踊れるんだと見直しました。 夫の帰りを待つコンスエロのダンス、芝居と思って見るとかなり唐突ですが、ショーだと思って見てる分には迫力あって良かったです。

 パイロット仲間の愛音羽麗。危険なフライトに挑むのは分かるけれど、出立前に別れを意識しすぎ。 自分がいなくなった後は頼む、今までよき仲間に恵まれた・・・。 これはショーなんだと自分に思い込ませて、みわっちのサヨナラ公演の見せ場だと思って見るようにすると、なかなかいいシーンでした。

 春風弥里くんは、脈絡もなく現れてコンスエロに告白する男。 その後2度と現れないし、一体なんだったの?と唖然としてしまうのですが、ここもショーだと思って見ると、蘭とむ、一花ちゃん、みーちゃん、蘭はなのWデュエットが素晴らしくて、文句のつけようがなかったです。

 出征前のサン・テックスとコンスエロが延々「星の王子さま」を朗読するシーン。 よくよく聞いていると、サン・テックスの愛がものすごく込められていて、蘭とむの包容力に感動します。

 望海風斗くんはストーリーに絡まないのかと思っていたら、サン・テックスの機体を撃破したドイツ兵だったらしい。 戦時中だし、誰が誰を撃墜したかなんて分かるわけないし、苦にするのもどうかと思うのだけれど、蛇のダンスは素敵だったので、ショーだと思って見るようにすれば以下同文。

 ショー「CONGA」はパワフルで見ごたえありました。 蘭とむといえばラテンですね。

 極彩色のプロローグ、ラテンのショーが始まるぞっていうワクワク感がたまりません。 白黒のダンスバトル。ラテンなのにジャズっぽいというか、格好良かったです。 海賊のナンバー、すごい迫力です。男役が一列になって押し寄せてくるところとか。うおおお〜って感じ。 ジャングル、これでもかというすごいリフトがありました。 蘭とむと蘭はなが蘭の花から出てくるデュエット。 いや〜、蘭はながこんなに踊る人だとは知りませんでした。最初のポーズもすごい。 黒いダンサー柚香光くんの女役は、色気があっていいですねえ。 ここもリフトがすごいし、見ごたえのあるシーンでした。
 息つく暇もないくらい迫力のシーンが繰り広げられて、本当にあっという間の1時間でした。 みーちゃんのダンスが堪能できて、個人的にも大満足。髪の先まで踊ってる感じ、本当にすばらしかったです。 芝居は残念だったけれど、ショーは文句なしによかったです。