アルジェで暮らすジュリアンは、強盗・殺人以外のあらゆる犯罪に手を染めて生きていたが、いつか出世して豪勢な暮らしをする野心を抱いていた。
ある日総督の財布をすろうとして失敗するが、総督はジュリアンを警察に突き出すのではなく、自分のもとで働かせる。
持ち前の才覚でジュリアンは出世街道を上り、やがてパリの社交界に顔を出すまでになる。
総督の娘や社交界の有力者の娘を手玉に取りながら、さらに出世街道を進もうとするが、最後は命を落とす。
ジュリアン・クレール、霧矢大夢。野望を抱き、女性を踏み台にしてでも出世を望む青年。 名前を聞いて「赤と黒」のジュリアン・ソレルを思い出すのだけれど、とにかくきりやんには合ってなかった。 向こう見ずな青年というには落ち着いた印象だし、女性を手玉に取るようなプレイボーイっぽい感じもないし。 総督に説得されてチンピラ生活から足を洗った後は、野望とか野心とか言うよりも、本当に地に足つけた生活をしてそう。 ラストの展開も良く分からない。 あとさき考えずに逃避行するような、若さあふれるタイプに見えないだけに、微妙。 最後射殺されるのも唐突すぎるし。初演時とか、あのラストシーンに感動したのかなあ? 感動どころか、唖然としてしまいました。 ジュリアンのアルジェ時代の恋人サビーヌ、蒼乃夕妃。 最初ジュリアンと言い合いをしていたので、気の強い娘かと思ったら「あなたが幸せなら私はどうなってもいい、陰で見てるだけで幸せ」という超古風な女性。 5年の間、ジュリアンのことをずっと想い続けてた? 好き勝手生きてきたジュリアンに対して、ジャックと暮らしてることを謝るっていうのも変だし、そもそもまりもちゃんは独りじゃ寂しくてやり切れないというタイプにも見えない。 芝居的な見せ場がほとんどない役だけど、クラブのダンスシーンのまりもちゃんのおなかの美しさには見とれました。 まりもちゃんのダンスも好きなのだけど、あの引きしまったおなかは一見の価値があります。 ボランジュ総督、越乃リュウ。とにかく格好いい。 ジュリアンを説得する大人の男の余裕とか、何気に腕っ節の強いところとか、唯一イケてた役です。 チンピラ仲間のジャック、龍真咲。 せいぜい他人にたかるくらいしかできない、ひたすら小者のワル。 サビーヌに固執する目的が、実際彼女が好きなのか、ジュリアンへのあてつけか、その両方でもいいのだけれど、もうちょっと演じようがあると思うのだけど。 ジュリアンに対しても、歌詞の割には複雑な心境が出てなくて、単なるチンピラにしか見えないし。 ジュリアンが手玉にとる女性その1、アナベル、花陽みら。 内気で、社交界ではほとんど印象に残らないだろう地味で清純なタイプ。 ジュリアンに失恋した後入水自殺を遂げたらしいけれど、強大なバックがついている娘が自殺したのに、何の話題にもならないストーリー展開が不思議です。 透き通った歌声が素敵でした。 女性その2エリザベート、彩星りおん。 とにかく可愛くないの一言! 男役から転向したとは聞いたけれど、もう何年もたってるなら言い訳にならない。 たたずまいもメイクも表情もすべてが美しくなくて、気の強い女性も美しいからこそ許されるはずなのに、そういう演技もない。 エリザベートは、気位高く美しくあってほしかった。 アナベルにひそかに心を寄せる青年アンリ、明日海りお。 全身で愛してますオーラを出しているけれど、どうしても告白できない内気な青年。 はっきり言ってふがいない。 傷心のアナベルが自殺するかもしれないって、予測できなかったの? 予測できたけど放っておいたの? 最後ジュリアンに銃を向けるというのが、展開がいきなりすぎてついていけない。 愛する女性を守ることすらできなかったのに、彼女をふった男を殺すって逆恨みにもほどがある。 社交界にリークして、社会的にジュリアンを抹消するという方法をとるなら納得できるけど。 脚本自体が納得いかないのか、誰もかれも役に合ってなくてピンとこないのか・・・。 再演の呼び声の高かった作品だと言うけれど、正直何がそんなにいいのか分からなかった。 ショーは、それなりに楽しめました。 序盤の総踊りで2階席まで生徒さんが来たのにはびっくり! A席最前列だったので、本当に目の前に生徒さんがいて、とても盛り上がりました。 客席下りの時は、こういう風に2階席まで来てくれると嬉しいです。 ゴシックホラー調の亡者のストーリーダンスは、宝塚らしくて素敵。 そのあとのノートルダムのせむし男は、宝塚らしくないかもしれないけれど逸品。 カジモドのきりやんが素晴らしくて、きりやんは女を手玉に取るプレイボーイタイプの役よりも、地道で誠実な役が似合うんだって再認識しました。 ジプシー娘のまりもちゃんのダンスも素晴らしくて、心やさしいけれどハッキリしたタイプの女性というのが似合ってた。 ショーのワンシーンなのにすごく感動しました。 昇天のノートルダムのバラ窓は豪華で綺麗だったけど、羽根を背負ったカジモドはちょっとお笑い系になってしまうので、白い鳩の映像を流すくらいの方がビジュアル的に素敵だったと思う。 直後の若手男役のダンスナンバーが格好良かった。 白いかもめの総踊りは、ちょっと長かった。まりもちゃんは手足が長くて素敵なのだけれど、並ぶとちょっときりやんが気の毒でした。 |