第1次世界大戦にスペイン風邪。世界中で大勢の人が亡くなり、休みなく働き続ける死神はほとほと疲れ果てていた。
あるとき自動車事故で死ぬはずだったランベルティ公爵の娘グラツィアを目の当たりにしたとき、死神は彼女を連れ去ることを躊躇する。
人間はなぜ死を恐れるのか、何のために生きるのか、人間の目を通して知りたいと考えた死神は、ロシアの皇子ニコライの姿を借りて公爵家に現れる。
舞台セットは豪華、ちょっと冗長かなと思うナンバーもあったけど、全体としてよくできた話だったと思います。 コメディ版エリザベートって感じでした。 死神/ニコライ・サーキの月城かなと。 ブラックすぎる死神業が嫌になって休暇を取りたいって考える、妙に真面目なところがかなと君のキャラにあってる。 死神のおどろおどろしい扮装から、白い軍服でさっそうと現れるニコライのギャップ。 ハンサムな青年の姿を借りると判断した死神の審美眼は間違いないし、かなと君の美貌が説得力ありすぎて、会場全員納得したことでしょう。 初めてぐっすり眠って、はじめてサニーサイドアップの朝食を食べて、嬉しくてしかたない死神が小学生の男の子のようで可愛い。 でも公爵を脅すときはちゃんと死神なんですよね。 グラツィア、海乃美月。 恋に恋して、夢見る夢子ちゃんな21歳の娘。 演技的にはちゃんとそう見えるのだけど、ビジュアルや持ち味のたたずまいが大人びてるから、ちょっと違和感。 ランベルティ公爵、風間柚乃。 研10にして安定のヒロインの父親。 髭つけてダンディで、芝居もコメディも本当に上手なのだけど、路線で推すならもっとキラキラした役を回してあげないと、どんどんいぶし銀になってしまう。 執事の佳城葵。 絶妙なコメディで、楽しませてもらいました。 グラツィアの婚約者コラード、蓮つかさ。 パッとしない男で、これは振られても仕方ない。 グラツィアの母、白雪さち花。 戦死した息子を忘れられず、息子の部屋で在りし日の面影を思い出して悲しみに暮れている。 ここが本当に胸につまされて、涙なくして見られない。 この後、ランベルティ公爵も娘を奪うなら引き換えに自分の命を奪ってくれと死神に言うのだけど、結局グラツィアを連れて行ってしまうんですよね。 グラツィアの意思と言えばそうなんだけど、とてもハッピーエンドとは思えない。 父はまだ貴族としての立場で何とか生きていけるかもしれないけど、母は生きる希望もない。 恋人たちが引き裂かれるバッドエンドより、子供たちに先立たれたバッドエンドの方が救いがなさすぎる。 グラツィアはどんな見た目でも死神を愛してるって言ってたけど、ニコライのビジュアルに惚れてるとしか思えない。 実際超イケメンだし、最後一緒に昇天するときはニコライの姿に戻ってるし。 原作もあんなにエリザベートだったのかな? |