ピアノコンテストの優勝候補とみなされていたアリステアは、本番中にプレッシャーで意識を失ってしまった。
そのトラウマから、もう1度ピアノに向かうことができなくなり、育った孤児院をあとにする。
街に出たアリステアは、ムーアという訳ありの男と出会い、事業に参加する。 仕事が軌道に乗ったころ、アリステアはトラブルに巻き込まれ、重傷を負ってしまう。 一命をとりとめた彼は、過去の記憶を無くし、曖昧な意識の中で、封印していたピアノを演奏し始める。 アリステア、瀬奈じゅん。 コンテストなんてまたチャンスがあるのに、それで2度とピアノが弾けないほどのトラウマを抱えるって、どれだけセンシティブで傷つきやすいんだか。 撃たれたことがトラウマになるというのなら分かるのだけど。 アリステアのような繊細な人だと、支えてくれる恋人の存在があったりするとまたいい感じなのだろうに、最後まで相手役不在で、それが残念でした。 とは言っても、男同士の友情がテーマと言うだけあって、ムーアとは本気で言いあったり、身の危険を顧みずにムーアを助けに行ったりするのは、男らしくて格好いい。 ラブロマンス抜きの男の友情物語なのだから、最後手負いのムーアを置いて旅立つのではなくて、せめて治るまでそばにいてあげようよ〜と思ってしまった。 さよなら公演だからと言って、常に一人旅立つというエンディングでなくてもいいと思うのですが・・・。 ムーア、霧矢大夢。 あぶない事業に手を出しているのは別として、アリステアを丸抱えで世話したり、どんなに喧嘩をしても恋人のことを愛し続けていたり、人間味があって男気もあるいい男。 最後とりあえず死ななくてよかったけど・・・アリステアがいなくなったことを知ったら、ムーアはがっかりするだろうなあ。 凸凹コンビの遼河はるひ&桐生園加。一見強面っぽいはるひ君もそれほどこわいキャラではなかったけれど、それ以上に園加ちゃんの抜けキャラが可愛い。 人質にとられたり、ムーアが生きていることをばらしたり、本当に抜けているんだけれど、憎めない。 ヒロイン不在なので、ムーアの恋人エスメラルダがヒロインっぽい。気の強い女性なのだけれど、ムーアとはお似合い。 あいあいは、宝塚らしい可愛いタイプの娘役ではなかったけれど、ずいぶん上手になったし、1作だけでもトップ娘役として立たせてあげればよかったのにと思ってしまいました。 ヘレナ、羽桜しずく。アリステアに想いを寄せる女性という意味では、エスメラルダよりヒロインっぽくてもよかったけれど、あまり目立たなかった。 「ラストプレイ」というタイトルから想像するほどのさよなら公演っぽい印象はなかったです。 せっかくダンサーの麻子ちゃんなので、ピアニストよりダンサーという設定だったら、もっと嬉しかったんですけど。 ショーでは、麻子ちゃんのディナーショー「エル・ビエント」の主題歌が使われていました。 スパニッシュ衣装の麻子ちゃんは最高に格好いいし、さよならっぽいのだけれど爽やかで、いいシーンでした。 シンプルな衣装で、ソロで踊る麻子ちゃんのダンスも堪能できたし、黒燕尾の群舞も見られたし。 本当に個人的に、最後までかなみちゃんと一緒だったらよかったのに・・・とは思いますが、男役瀬奈じゅんを充分に堪能できたので、これでさよならでも全然未練はないです。 |