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月組 MAHOROBA マジシャンの憂鬱 2007年10月16日 於・東京宝塚劇場 |
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MAHOROBA。イザナギ、イザナミによって生み出された大和の国。その美しい大和の国の四季を背景に、ヤマトタケルのクマソ征伐、東国遠征などをダンスで綴るショー。 どのシーンも密度が濃い。下級生まで役付きで、かなり大人数の出演のようだけれど、人が余ってる感じがしない構成。ショーとしての完成度はとても高くて、さすが謝先生と思うのだけれど、逆に宝塚らしくトップさんの格好いいところを見たいと思っていると、拍子抜けなくらいアンサンブルの1人っぽい。 どこも群舞ばかりだったので、1シーンくらい日本神話とかけ離れてもいいから、宝塚の男役、瀬奈じゅんここにありみたいなシーンも見たかった。「舞夢」で、ギリシャ神話がテーマだけれど、客席出〜アイガッチャがあったみたいに。ラスベガスのショーとかだったら、文句なくよかったと思う。 イザナギはじめ、衣装がゴージャス。八百万の神1人1人衣装が違うし、とても1回で全部は見きれない。 好きなシーンは、まずクマソの国。園加ちゃんの男っぽいダンスが格好よくて。舞台が赤く燃えるようでした。そこに現われる美女3人(?)。男役の衣装の上に重ね着しているからもあるけれど、麻子ちゃんはどうにも男っぽい。祐飛くんの女装は、結構かわいいと思うんですよね。 それから話題の、東国遠征の三味線のシーン。本当にすごい迫力。三味線の迫力に負けないくらいのダンスもさすが。ここでも園加ちゃんが男らしくて格好いい。ちょっと「AKURO」ぽいと思いました。 舞台が豪華で、フルメンバーで踊りまくっているから、LEDはやりすぎな気もしました。本当にどこを見たらいいのやら状態。ラストは踊りながら幕なので、終わった感じがしなくて、宝塚的にはポーズで幕のほうがしまりがいい気がします。とはいえ、全体的にとても見ごたえのあるショーでした。 マジシャンの憂鬱。 シャンドールは、人気のクローズアップマジシャン。あるとき仲間たちの入れ知恵で、透視が出来ると偽って金儲けを始める。ところが、某国の皇太子から妃の事故死の真相を調べてほしいという依頼を受けてしまい、ことの重大さに大慌て。適当なことを言ってごまかそうとするが、意図せずどんどん事件の核心に近づいてしまい、最終的には真相が明らかになって大団円。 シャンドールの瀬奈じゅん。ただ立っているだけで格好はいいのだけれど、まわりに翻弄されっぱなしで、キャラクターとしてはあまり格好いいとは言えない。カードマジックがさまになっていたので、1シーンだけなのがもったいないくらい。 何が憂鬱なのかは、よく分かりません。人を欺いているのがイヤだって、それは良心の呵責というものであって、憂えるようなことではないと思うのですが。 ヴェロニカ、彩乃かなみ。ボディーガード兼任の侍女だし、女らしい役ではないけれど、あんなに低い声でなくてもいいのに。麻子ちゃんが高い声だったから、かなみちゃんの方がよっぽど男らしかった。王国の侍女って言ったって、現代なのだからドレスじゃなくていいだろうし、ドレスでアクションは似合わない。強いキャラにしたければ、いっそパンツスーツの方が似合ってたのでは。 皇太子ボルディジャール、霧矢大夢。この妙なコメディキャラは、役作りなのか、きりやんの味なのか・・・。ほとんどどのシーンも、きりやんが持っていってました。 おかしな仲間たち、出雲綾、嘉月絵里、大空祐飛、遼河はるひ、龍真咲。各人の本職がチラシには書いてあったけれど、芝居ではただのぷーたろーのようだった。キャラクターばらばら。5人揃って歌っていても、全然アンサンブルじゃない。これだけ個性豊かな5人だから、もっと彼らの個人プレーの場面があったら楽しかっただろうな。 墓守の未沙さんは、なんとも言えないとぼけっぷりが面白い。 司祭の桐生園加。こんなひょろひょろした園加ちゃん、始めて見ました。おいしいキャラです。 皇太子妃マレーク、城咲あい。墓場でふら〜っと現われた感じが、とても透明感があって合ってました。あいあいは、人間的な役より、こういうのが合ってる。 いろんなキャラクターの人がいるのは楽しいのだけれど、ストーリーとしては微妙。サスペンスとしては調子よすぎるし、麻子ちゃんもかなみちゃんも、別にこの2人じゃなくてもいいような役だったし。ショーでも芝居でも、男役瀬奈じゅんが見られなくて、ちょっと欲求不満気味です。 |