ヤマトタケル

月組
MAHOROBA
マジシャンの憂鬱

2007年10月30日
於・東京宝塚劇場

オトタチバナ


 2度目のMAHOROBA。今回は、もうちょっと落ち着いて見られました。八百万の神々も、何かいっぱいいる〜!ではなくて、少しは分かりました。日本の四季とヤマトタケルの故事を上手くあわせてるだけでなくて、ヤマトタケルの国を思う気持ちがこんなに強く表現されていたんだと、2回目で気づきました。1回目は舞台を追いかけるだけで精一杯だったので。

 どのシーンもダンスダンスで、ダンス好きにはたまりません。サルメ(霧矢)とサダル(大空)の2人は、もっとシンメで踊っているのかと思っていたら、きりやんのダンスは難しそうでした。ニライカナイでも、回る回る。

 そして、クマソの国と東国の2シーンがやっぱり好き。太鼓のBGMに真っ赤な衣装のクマソの男たち。迫力あって、格好いい。女装は、改めて見ても微妙ですが。
 季節に合わせて各地の民族舞踊風のシーンが続くのは、綺麗なのだけれど、似たようなイメージで印象が薄い。

 吹雪のシーンで敵を討った後、「この地に生きて、この地に死ぬ」という台詞を繰り返すところ、ちょっと感動しました。こんな辺境の地まで来て戦って、恋人を失い、仲間を失い、自分自身も傷ついて、そこまでしてこの地を討伐したけれど、やっぱり自分は大和に帰りたい。三味線と園加ちゃんのシナツヒコのどこか土っぽいダンスが、荒涼とした雪の大地のイメージに合ってる。
  「まほろば 大和は 我が心のまほろば♪」同じ歌詞の繰り返しは、いかにも宝塚節で好きでないのも多いのだけれど、この歌は、そこまで大和が恋しいのかと思って、心にしみます。
 厳寒の冬から椿咲く早春になり、白鷺になって大和に戻ってくるヤマトタケル。季節はめぐり、命もめぐるみたいな感じで、晴れ晴れとした表情で踊るのが、救われる。

 ショー仕立ての芝居を見ているような気分。出演者は大変だったようですが、見ているほうには見ごたえ充分でした。

 マジシャンの憂鬱は、シャンドールがどうというよりは、麻子ちゃんの何気ない仕草が格好いい。髪をなでつけたり、壁によりかかったり・・・。こんなに格好いいマジシャンだったら、どこに行っても大人気でしょう。
 ヴェロニカは、ダンスが苦手で心拍数上がっちゃったり、墓場が怖くて腰抜かしちゃったり、可愛いところもあるんだけれど、あまりかなみちゃんの良さは出せない役の気がする。

 ボルディジャールのきりやんは、ふざけてるように見えるけれど、本人はいたって本気なんですよね。
 マレークのあいあい、墓場のダンスはぞっとする雰囲気に包まれてました。狂気=放心してるのなら普通なのだけれど、笑みを浮かべてるのが、本当にいっちゃっているようで怖かった。

 おかしな5人組。何でこの5人が集まったんだろう?全然共通点ないし。どこで出会ったのかも分からないし。個性豊かでいいのだけれど、不思議な5人組。たきちゃん、えりちゃんはさすがの存在感。でも、なんで年齢的にも、日常生活で接点なさそうなたきちゃんが、紅一点で入ってるんだろう。
 祐飛くんは、問答無用で麻子ちゃんが好きなのねって思える。「大好きなのに♪」って歌ってるところが可愛い。(麻子&祐飛のコンビ、大好きです。)はるひ君は大きいからそれなりに目に付くけど、まさき君はあまり目立たなかった。どうにも謎の5人組です。