龍真咲のさよなら公演。 織田信長と言えば、戦国武将の中でも1〜2を争う人気だろうし、多少の脚色をしても失敗することはないはずなのに、なぜここまでつまらない作品になるってくらいつまらなかった。 プロローグ、白装束に身を包んだ龍真咲の信長が、幸若舞の敦盛を舞う。 なんか迫力ない。 でも、信長って別にいかつい武将じゃないし、声が高いのも優男チックなのもまあいいか、とこの時は思ってた。 一転、武将たちの群舞。 これは格好いい。帰蝶も凛々しくて、ちゃぴらしい。 信長が今川を打ち取るのが、なんか他人の手柄を横取りしてる感じがして、ちょっと矮小感。 象はすごいんだけど、乗ってる信長が微妙。 このあたりから、龍のアクセントが耳につき始めて、セリフが入ってこなくなる。 信長ってもっと大物で破天荒なイメージがあるのに、まったくそういう風に見えなくて、龍の芸風も脚本もどっちもいけてないという気持ちが大きくなっていく。 明智のカチャ、秀吉のみやるり。 ニコイチ扱いで、あまり個性を感じない。 みやちゃんの秀吉の方が若干ちゃらけた感はあるけど、他の武将たちも含めてみんな没個性。 浅井とお市の話とか、(なぜそこで反旗を翻そうとするのか不明な)長篠の合戦とか、エピソードを知ってるから何とか話がつながるけど、知らない人には意味不明なストーリー展開。 そういう意味では、ラストの本能寺も。 本能寺なんて信長のクライマックスなのに、なんであんなに取ってつけた感のある展開にするのやら。 こまちゃんの足利義明は、棚ぼたで降ってきた将軍職にそぐわない小物っぽさが上手で、さすが面白かった。 珠希のコルテスは、存在そのものが意味不明。 取ってつけたみたいで、特に格好いいとも思わないし。 ちゃぴの帰蝶は凛々しくて良かったけど、なぜ途中からくのいちみたいになるのか、またもや意味不明。 信長に討たれなくてはならないのも、全く訳が分からない。 信長を狙う、あーさーの妻木。なかなか目立って良かったけど、狙う意味がよく分からない。 狙う方も分からなければ、狙われる信長にもそれだけの器量を感じない。 天下統一の野望を持った風にも見えなければ、逆らうものは切り捨てて行くという怖さも感じないし、孤高の人という崇高さも感じない。 コルテスにしても明智にしても、反発を覚えながらも魅かれて行くはずなのに、双方そういう風に見えないので、何がやりたいんだか? なんだかよく分からないまま本能寺に突入して、本来一番の見せ場のはずなのに、炎に焼かれて死んでいくことすらない。 せめてここでプロローグの白装束であれば、まだ話がまとまろうと言うものなのに。 突然蘭丸が現れて、そして切り込んでいったきり帰ってこない。 その後、帰蝶をはじめかつて手に掛けた人たちが順に現れるから、大人の事情で蘭丸も引っ込んだのかと思いきや、妻木が出てくることもない。 だったら、せめて蘭丸くらいは一緒に船出に連れて行ってあげようよ。 ここまでつまらない信長の物語も珍しいと思った。 演じる人が演じたら、もうちょっとマシだったのか?それすら不明。 ショーは、相変わらずちゃぴのダンスナンバーは素晴らしかったけど、それ以外は面白くもなかった。 |