月組
ベルサイユのばら


2013年3月24日
於・東京宝塚劇場



 もう何回見たか分からない「ベルばら」。今回はオスカルとアンドレ編。 昭和のかほりが強くて、正直飽き飽きしている作品なのですが、友人がくじ引きで当てたと言うので、ありがたく見に行きました。 前楽。龍アンドレ、明日海オスカルのバージョンでした。

 プロローグは相変わらずピンクのばらに埋め尽くされたた夢夢しいセットでしたが、全体としてはだいぶ原作に近いすっきりした作品になっていました。 ざーます貴婦人がいない。これだけでかなりホッとします。

 オスカルの明日海りお。ビジュアル的には問題ないし、演技も特に文句を言うことはないのだけれど、何となく真ん中に立つオーラに欠ける気がしました。 地味というわけでもないのに、これがトップさんとの違いなんでしょうか?

 龍真咲のアンドレ。こちらはビジュアル的に線が細いのが残念。アンドレの男気とか包容力よりも、男の弱さの方を感じました。 アランに取りすがるところとか、男同士として対等に見えないし、オスカルを一途に想っているのは分かるけれど、大きさが感じられると良かったのにというのが素直な感想です。 オスカルとアンドレの存在感が若干薄かったぶん、周りの登場人物が目立って見えました。

 アラン、星条海斗。今回一押し、男らしくて格好良かったです。 荒くれ者だけど、根は純粋で責任感も強くて、もともとアランはいい役だけれど、今回はマギーにやられました。

 衛兵隊メンバーのダンスは、お約束通り格好いい。 オスカルが子守唄を歌ってなだめるなんていう意味不明な展開はなくなって、原作通りアランとの決闘と心意気で静めるようになったのが良かったです。 衛兵隊の家族たちのアンサンブル芝居がとても良くて、今までも同じシーンはあったのに、今回とても感動しました。

 ベルナール、美弥るりか。 パリの庶民を従えてのナンバーが新しく追加されていました。 庶民のパワーが歴史の流れを作っているという感じがしたし、新しく追加されただけあって古臭くないのがいいです。 やっぱりベルナールは若くて格好いい青年がいいですね。

 ロザリー、愛希れいか。 オスカル編では仕方ないけれど、トップ娘役の出番が少ない。 ただの可愛い子ちゃんじゃない、芯のしっかりした感じが好感持てました。

 ブイエ将軍、越乃リュウ。 オスカルに敵対する貴族が他にいないので、1人でめいっぱい嫌な奴を演じてました。 さすがの存在感です。

 ジェローデル、珠城りょう。キザでナルシスというよりは、割とナチュラルなジェローデルで、これはこれで良かったです。 見栄を張って身を引いたものの、陰でマントの裾を噛んで泣いてそうだし、人間味にあふれてました。

 今まで見たベルばらの中では、一番無理なく素直に見られました。 ラストのガラスの馬車が宙を飛ぶという少女趣味な演出も、他が割とシリアスだったので、宝塚だしまあいいかと思えました。 プロローグの夢夢しいのが、もうちょっと現代風におしゃれになったらいいんですけど。