SAUDADE・・・Jにまつわる幾つかの所以。異郷で思う懐かしい故郷、遠く離れた愛しい人、もう2度と帰らない青春時代への憧憬。 サブタイトルとコンセプトを見て想像していたものとは、ちょっと違いました。 1幕は、ショー。 チェスのコマが幻想的なセットで、その世界を総べているボス(越乃りゅう)が、手下を使って旅人(瀬奈じゅん)を誘惑する。このシーンのヒロイン、ダンスが上手。 そのあとコミカルなシーンや、男役のダンスナンバーも続くのだけれど、なにがSAUDADE(哀愁、追慕)なのか、分かりませんでした。正直、似たようなシーンが続くので、印象に残っていない。麻子ちゃんと園加ちゃんの仲よさそうなのだけは伝わってきました。 2幕は、寸劇とショー。 場末の酒屋に流れ着いた旅人(瀬奈)がカウンターで酒を飲んでいる。酒場にいるのは、カード賭博に熱を上げる男たち、夫の帰りを待つ妻、恋人のプロポーズを待つ女、カモになる男を物色する女、その他もろもろ。グランドホテル形式と言えなくはないけれど、あまりに日常のひとコマで、正直小劇場で上演するのにふさわしい感じ。麻子ちゃんも、群像劇の聞き役に徹しているし。 旅人は、最後に「過去に犯罪を犯したために、恋人は去っていった」とカミングアウトするのだけれど、そういう設定なら、1幕から殺人だか泥棒だかを犯すシーンや、刑務所に服役するシーン、後悔して恋人を追慕するシーンをショー仕立てで見せてくれたら面白かったのにと思いました。 フィナーレの黒い鷲の黒燕尾ナンバーは、これぞ宝塚。 麻子ちゃん自身は出ずっぱりだったし、麻子ちゃんのための舞台のはずなのに、麻子ちゃんらしさのない、全体として印象の薄い舞台でした。 |