オクタヴィアン

月組
いますみれ花咲く
愛のソナタ

2001年2月4日
於・東京宝塚劇場

オックス男爵


 花婿が未来の花嫁に銀のバラを贈る宮廷の風習により、花嫁のもとにバラを届けたメッセンジャー役のオクタヴィアンは、花嫁のゾフィーに一目ぼれ。一方花婿のオックス男爵は、女中に変装したオクタヴィアンに一目ぼれ。ゾフィーは、オックス男爵を一目で嫌いになって、妙な三角関係。衣装がとにかく華やかで、これぞ宝塚という作品だった。

 オープニング、デコレーションケーキ型のオルゴールのセットの上で、登場人物たちが踊るシーンは、特に華やかだった。そして、登場人物全ての、どこまで本気か分からないコメディが、見ていて心底楽しめた。

 真琴つばさ演じるオクタヴィアンが女装するシーン。男役の女装というのは、笑いをとるものと決まっているけれど、まみちゃんのわざとらしい裏声と大げさな動作は、この人は本当にエンターテイナーだと思った。紫吹淳のオックス男爵のヤサ男ぶりも、徹底していて面白かった。遊び人というよりは、お人よしな女好きという感じで、憎めない。汐風幸は、これまでの作品でちょっと地味な印象を持っていたのだけれど、今回ニクラウス役では、前の2人に負けないくらいに、ボケたキャラクターが可笑しかった。

 生徒さんたち自身も、面白がっていたと思う。誰だったかが、幸ちゃんの髪飾りを隠して慌てさせる。幸ちゃんは幸ちゃんで、下級生の若い従者に、自分が読むべき書簡を読むように、急にいいつける。(実際に書簡には台詞は書いてないだろうから、従者としてではなく、素に戻ってあせっていたけれど、きちんと読みきった。満場の拍手。)りかちゃんは、女装オクタヴィアンと東屋にしけこもうと張り切るシーンで、マイクを飛ばしてしまうハプニングがあったけれど、それを逆手にとって、マイクをかかげて台詞を言い放った。何でもありの舞台で、それがかえって場を盛り上げるくらいのテンションの高さだった。

 檀れいのゾフィーは、ひとり非常にノリが悪かった。今回に限って、役に合っていたので救われた感じもあるけれど、もう少し可愛げがあってもいいのに。
 原作では主役になる元帥夫人を演じた美々杏里は、おちついた存在感があった。全体にドタバタコメディの舞台だったのを、若者たちの恋の行方を見届けて、次の世代に時代を託そうという感じに、話をうまくまとめていた。