喝采

2004年7月20日
於・帝国劇場

 宝塚ではありませんが、りかちゃん退団後初の舞台。チラシに載っていたのと、随分ストーリーは違いました。
 崩壊寸前の桜舞踏団。なんとか建て直そうと、かつてのスター立花麗子をアメリカから呼び寄せるが、やってきたのは、麗子の双子の妹、愛(浜木綿子)だった。舞踏団を再建するために奮闘する麗子(愛)や演出家の佐伯(左とん平)。舞踏団のスター、観音崎すみれ(池畑慎之介)や団員たち、そしてすばらしいダンスの才能を持ちながら団員の仲間に加わろうとしない影山瑠香(紫吹淳)。最後には、みんなの気持ちが1つになり、帝国劇場でショーを上演することができる。

 浜木綿子は、年代もあるのかもしれないけれど、発声の仕方があまり好きにはなれなかった。声が細くて揺れるので、舞台向けでないというか。それと、亡くなった姉の代わりというけれど、別にどっちでもいいような気がする。左とん平とのやりとりは面白かった。どこまでが台本で、どこからがアドリブなんだか・・・

 璃香役のりかちゃん。みんながりか、りかって呼ぶのが、宝塚のメイキングを見ているような気になる。フランス人とのハーフというのも、あの足の長さ、顔の小ささ、納得です。
 璃香というのが、ダンスの名手なのに、世間に背を向けている人で、そういうちょっと陰を背負った屈折した感じが、りかちゃんによく似合う。ラフなミディアムヘアに、カジュアルなパンツスタイルで、ニコラス(ブエノスアイレスの風)とか、レオ・ビスコンティ(シニョール・ドン・ファン)を思い出させる。男役の声ではないのだけれど、すごく女と言う感じでもなくて、自然のままのりかちゃん。泣き崩れながら謝るシーンが痛々しくて、時折見せるはにかんだ笑顔が可愛い。そしてダンスシーンはさすがです。

 舞踏団の仲間、杏子(風花舞)とあずさ(伊織直加)。ゆうこちゃんはあいかわらず可愛くて、ダンスもお上手。なおちゃんはかなり女らしかった。燕尾の着こなしはさすがなのだけれど、声の出し方とか、普通に女優さんらしくて。宝塚もののドラマでも思うけれど、燕尾やスーツ姿は、一目で生徒さんかそうでないかが分かる。ゆうこちゃんの、璃香を待ってたという台詞、いいな〜。ゆうこちゃんだからこその台詞の重み。
 途中ダンスシーンで背が高くて目立つ人がいると思ったら、雅景でした。在団中はあまり記憶に残っていないのだけれど、群舞では目立ちますね。他にももと生徒さんいたのだろうけれど、気づかず。

 そして極めつけ、すみれ!ピーターの舞台は初めて見たのだけれど、面白い。いけいけな女役で、コメディセンス抜群です。この人も、どこまでが台本でどこからがアドリブなんだか。

 一番の見所は、ラスト大階段(中階段くらいかな?)の黒燕尾。りかちゃんの黒燕尾姿がまた見られるとは。本当に颯爽としていて、ほれぼれ〜。浜木綿子はじめ、みんなに格好いいと言われていたけれど、あれは台詞じゃなくて本音ですね。ピーターが、昔の私みたいと言ったときの、りかちゃんの困ったような、はにかんだような複雑な表情。その後、すみませんでしたと土下座するピーターが面白かった。
 りかちゃんとゆうこちゃんのデュエット。どちらも本当にダンスが上手くて、他の人たちを見る余裕がありませんでした。お互いを見る眼差しが優しくて、昨日今日作ったものじゃない。去りし日の月組にタイムスリップしてしまいました。りかちゃんのSTAYも聞けたし。最後の30分だけでいいので、もう1度見に行きたい。