雪組
ベルサイユのばら


2024年9月11日
於・東京宝塚劇場



宝塚版ベルサイユのばら。正直もう見たくないというのが正直な感想。 今回もほとんど期待はしてなかったけれど、思った通り残念感が半端なかったです。

ごらんなさい♪に始まるお決まりのプロローグ。
あいもかわらずモンゼット夫人とシッシーナ夫人のくだらない場面が延々と続く。
ジャンヌがアントワネットのお気に入り側近?
ジェローデルがフェルゼンを追ってスウェーデンに行く?
フェルゼンが自身の秘めた恋心を国王に語る? (ルイ16世に語る前回の演出よりはまだマシとは言え)
何ひとつ原作にないですよね?
そのくせ、一番重要なオスカルが男として育てられた女性だって説明が全くない。 それがなかったら、下調べなし初見の人は全く意味わからないでしょう?
ダイジェストかってくらいに話を端折ってるのにもかかわらず、原作にない場面にばかり尺を長くとってるし。 ストーリー展開を長せりふで済ませるとか、お涙頂戴な演出方法も古臭い。
とにかく宝塚のベルばらは好きじゃないです。

ポスターのピンクふわふわの衣装は、フェルゼンとアントワネットの逢瀬のシーンで使われてました。 今までだと小舟でデートしてる場面の代わりですね。 ショーのワンシーンとしてなら綺麗だけど、ベルばらか?と言われたら微妙です。 チュチュにトゥシューズのバレエが美しくて、つい目がいってしまいました。

2幕のプロローグは、かせきょのベルナールが率いるラ・マルセイエーズのスタイリッシュなダンスナンバー。 衣装もダンスも格好よかったのだけど、芝居全体が古臭いからそこだけ異質感ばりばり。 全部刷新して欲しい。

彩風咲奈のフェルゼン、立ち姿の美しさは文句なし。 見せ場は馬車のシーンくらい? フェルゼンって無言実行タイプだと思うのに、演出のせいで口先ばかりの何もしない男になってしまったのが残念。 国王に自分の気持ちを語るくらいなら、ヴァレンヌ事件入れてほしい。 感情を素直に表すフェルゼンだったので、この後民衆を憎んで暴君になる未来は想像できました。

夢白あやちゃんのアントワネット、初めの方はあまり合ってなかったけど、ラストの凛として階段を上っていく場面はさすがでした。 相変わらず「フランスの女王」って何度も言うのは意味不明ですけどね。 マリア・テレジアじゃないんだから、あくまで王妃でしょ。

朝美絢のオスカル。 オペラ座でフェルゼンに出会ったとき、彼の内面に触れて恋に落ちた感じがとてもよく伝わってきました。 全体にナチュラルな女性で、あーさのオスカルは好きでした。

アンドレ、縣千。 男っぽくなって、今宵一夜もいい感じでした。 が!なぜオスカルはアンドレの想いをフェルゼンからの手紙で知る? オスカルはちゃんと気がついてるでしょ! もうどこもかしこも、脚本演出ひどすぎる!

咲奈さよならじゃなければ無理に見に行かなかったってレベルのベルサイユのばら。 原作が好きなだけに、1度植田演出はすっぱりやめて、原作からきちんと書き起こした脚本で見たいです。 韓国のベルばらはフェルゼンとアントワネットが出てこないって言うので、それはそれで中途半端感があるかもしれないけど、宝塚版よりマシなんじゃないかと思うので、いつか日本で上演してください。